未来の年表 人口減少日本でこれから起きること

未来の年表 人口減少日本でこれから起きること
著者:河合雅司
発行:2017/06
講談社現代新書

読んでいて特に気になったところ

東京を含めたすべての自治体で人口が減る。日本が消えてなくなるかもしれないといわれているときに、一部の自治体の人口が増えただの、減っただのと一喜一憂している場合ではない。(P4)
「結婚するもしないも、子供を持つも持たないも、個人の自由だ」と語る人々が増え、子供が生まれなくなった社会の行き着く果てに待ち受けるのは、国家の消滅である。(P9)
スカスカになった日本列島の一角に、外国から大量の人々が移り住むことになれば、武力なしで実質的に領土が奪われるようなものだ。(P10)

なぜ働き盛りの介護離職が増えたのだろうか?背景の1つはもちろん少子化である。(P52)
政府が追い求めるような、社会保障サービスを充実させながら、負担はある程度までで抑える「中福祉中負担」は幻想にすぎない。(P65)
2033年、全国の住宅の3戸に1戸が空き家になる。増大する「老いる家」のせいで街の景観は崩れ、治安も悪化してゆく。(P93)
2035年、「未婚大国」が誕生する。男性の3人に1人、女性の5人に1人が生涯未婚。(中略)1970年の生涯未婚率は男性1.7%、女性も3.3%に過ぎなかった。(P98~99)
2042年、高齢者人口が約4000万人とピークに。就職氷河期世代が老い、独居高齢者が大量に生まれる2042年こそ「日本最大のピンチ」。勤労世代は1200万人以上減る(P117)
2045年、東京都民の3人に1人が高齢者に。東京圏でも限界集落が続々出現。東京郊外はゴーストタウン化してゆく。(中略)大都市部では総人口はあまり減らず、高齢者の実数だけが増えていく。これに対して、地方では総人口は減少するが、高齢者の実数はさほど増えるわけではない。(P122~126)
勤労世帯が減れば、税収増も期待できず、高齢者向け政策を展開しようにも財源が追い付かない。財源問題を解決するには、自治体は税金や社会保険料のアップと、行政サービスのカットを同時に行う「ダブル負担増」に踏み切るしかない。しかも、高齢者は長期的に増えるため、それは繰り返し行わざるを得ない。つまり、大都市部に住み続ける限り、負担増とサービス低下に繰り返し見舞われるということだ。住民の生活水準は低下し、街そのものが活気と魅力を失う。やがて、大都市部の自治体は行き詰まるだろう。(P129~131)
2050年、世界的な食糧争奪戦に巻き込まれる。日本が人口減少する一方、相変わらず世界人口は増え続けて約100億人に。(p132)
2065年~、外国人が無人の国土を占拠する。(中略)外国人参政権を認めるのは致命傷。(中略)外国資本による北海道の水源地などの買収が問題となってきたが(中略)人口減少とは、「国防に直結する危機」との認識を持つことが重要なのである。(P138~)

日本の難しさは、人口減少をもたらす出生率の減少、高齢者数の増加、そして社会の支え手である勤労世帯の減少という、それぞれ要因の異なる3つの課題に同時に立ち向かわなければならないところにある。(中略)では、私を含む「現在の大人たち」は何をすべきなのだろうか。この世代に突き付けられている最大のミッションは、社会の支え手、労働力不足の解消である。(P149~150)
「外国人労働者」「AI」「女性」「高齢者」(中略)労働力の切り札となり得るのだろうか?(中略)4つとも決定的な切り札とはなり得ないということだ。(P149~159)

日本を救う10の処方箋 (P162~195)
「戦略的に縮む」
1. 「高齢者」を削減 高齢者を「75歳以上」に引き上げ
2. 24時間社会からの脱却
3. 非居住エリアを明確化 人口密度を保つ
4. 都道府県を飛び地合併 強味と弱みを補完
5. 国際分業の徹底 得意分野だけに資源を集中させる
「豊かさを維持する」
6. 「匠の技」を活用 目指すは「イタリアモデル」
7. 国費学生制度で人材育成 エリート人材を育成する
「脱・東京一極集中」
8. 中高年の地方移住推進 新天地で青春
9. セカンド市民制度を創設 第2の故郷をつくる
「少子化対策」
10.第3子以降に1000万円給付 優遇される仕組みを導入

 

衝撃的でした。
ですが、知らないでいたよりも、知ってよかったですかね。
お店がポツリポツリと閉まり、街の活気が失われてゆく。
気がつけば、歩いているのはお年寄りばかり。
紅葉マークの車が増え、走行ペースは落ち、無灯火の車や、
一時停止や赤信号に気付かない車も増えてきましたね。
そんなのは、路上での光景なんですが、世も末な感じです。
緩やかに、安定して人口が減っていくことが、必要だと思う。
それには子供が生まれなければ話にならない。
生むも 生まないも 結婚するも 結婚しないも 自由でいい。
けれど、
結婚して子を持ちたくなるような大胆な優遇策は絶対に必要で、
国(国民)が、子育ての金銭面を包括的にバックアップすべきだ。
子供が生まれなくなった社会の行き着く果てに待ち受けるのは、
国家の消滅である。
との冒頭の言葉は、現実以外のなにものでもないのだから。

是非、一読することをお勧めします。

(2018年の1冊目)

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