人類資金Ⅳ

人類資金Ⅳ

著者:福井晴敏 発行:2013/10 講談社文庫

 

読んでいて〝しびれて〟しまったのは

改革のなんのと耳障りのいいことを言いながら、上の世代は自分たちのことしか考えていない。その場しのぎの延命工作で茶を濁すか、そうでなければ無責任なスタンドプレイでやりたい放題。あとは野となれの独善三昧だ。彼らはいい。古い秩序の恩恵をたっぷり享受してきたのだから、これまでが間違っていたとか、これからは発展や成長より人間の幸せを追求しようとか、好きなことが言える。ぼくたちはどうなる?高度成長の熱もバブルの狂乱も知らず、彼らがさんざん遊んだあとのツケを支払わされているぼくたちは?縮小タームに入ったこの世界で、彼らの言いなりに生産性の向上に努めるしかないのか?本音では自分たちが引退したあとの世界がどうなろうと知ったことではないと考えている連中、十年後の世界より年度末の決算を重要視している連中に顎で使われて、終わりゆく世界の目撃者になれとでもいうのか?(P111~112)

(前略)政治も、国防も、経済も。戦後の日本人が、自分で決められたことなんかなにひとつなかった。すべてアメリカから供与されたものだったからです。戦闘機や対艦ミサイルと同じ、日米協定で裁量される供与品でしかなかったからです」(中略)「私たちは人間です」(中略)「主権を持つ国家の一員、自分で自分の生き方を定める権利を持っています。始まりがどうであれ、戦後の七十年間を生きてきたのは私たち自身です。東西冷戦は二十年も前に終わった。日本は反共の防波堤としての役割を終えた。敗戦のツケはもう払い終えたはずなのに、私たちはいまだに古い〝ルール〟に縛られている。そう命じられたからではなく、変わる勇気を持てずに自分で自分を縛り付けて———」(P159)

(前略)つまり、日銀によるゼロ金利政策の解除が、リーマン・ショックの引き金を引いた」(P161)

寄付を集めて送り付ければ、飢え死にする幼児の何百人かは救えたと信じ、そうはならない現実を意識的にも無意識的にも無視する。この恣意的な先進国からの援助と、現地の個々のニーズをすり合わせるために、地域密着型の非政府組織(NPO)が東奔西走している国もあるが、ベテランの職員がたどり着く真理は常にひとつ。曰く、『援助で立ち直った国はなく、自ら変わろうとしない者を変えることはできない』。(P210~211)

縦割りの官僚主義、己の職分のみに忠良たれと説くセクショナリズムは、江戸の昔から続く日本の国民性と捉えられがちだが、現実には違う。自分で決めること、考えることを封じられた傀儡国家が、意識的にも無意識的にも養ってきた体質———すなわち、我々が与えたものだ。(P240~241)

 

解説や巻末にもあるが、この作品は、最初から文庫サイズで発表されている作品とのこと。新書サイズなどでは見かけるけど、文庫サイズでは少ないような気がする。そういう作戦で発売されているのですね。持ち運びしやすい小ささで、一冊一冊をお買い求めしやすいお値段で、多くの人に読んでもらいたい、という感じでしょうか。僕は〝紙の本〟が好きですし、印象に残ったところは〝野帳〟に書き写すのが好きなんです。ここに書いてる文章も一旦〝野帳〟に書き写したものから書いているんです。読んで気になったところは記憶に留めたいですし、自分自身にインプットするには手書きで書くのが僕にとっては良いようです。

ストーリーも俄然激しく動いてきましたね。この先どうなるんでしょうか!書店にⅤ巻が届いたようですし、取りに行こうかな!

(2018年の22冊目)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です