66:なぜ日本のジャーナリズムは崩壊したのか
著者:望月衣塑子
左高 信
発行:2020/7
講談社+α新書
最初に言っておくと、
僕は左高 信さんが好きではありません。
本書を読んでいても嫌いと思う事しきり。
左高さんの単著だったらまず買わない。
望月衣塑子さんには興味があります。
主義主張には僕とは合わない部分も多い。
けど孤軍奮闘する取材姿勢には共感する。
やはり、女性の時代かな、と。
そして、多くの国民は思っています。
なぜ日本のジャーナリズムは崩壊したのか
・・・と。
新聞もテレビも政府広報のようですしね。
牙を忘れた記者が障りのない取材をして、
面白くない記事を書く、放送をする。
理由や背景はともかく、面白くなくって、
読まないよ見ないよ、ということになる。
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佐高 (中略)菅義偉が自民党が野党だった時代の2012年に出した『政治家の覚悟』(文芸春秋)という本があって、(中略)
望月 あの本には「政府があらゆる記録を克明に残すのは当然で、議事録は最も基本的な資料です。その作成を怠ったことは国民への背信行為」と書かれてあったんですね。(P88-89)
左高 (中略)政治家を追求するネタをバーッと積み上げていって、向こうがどうしても釈明したいという立場に追い込めばいいわけだよね。政治部のいまの番記者には、そういう感覚がまったくない。(P91)
記者が権力の番犬になってしまった (P92)
左高 (中略)いまこの国では、あなたのように少数派の、波乱を巻き起こして社会を変えようとするジャーナリストと、諧調を乱さないようにするジャーナリストと、秩序に積極的に従おう、それを支えようとするジャーナリストがいる。
まあ、二番目と三番目は本質的には一緒なんだけど、二番目を代表する元NHKの池上彰と対談したことがある。(中略)つまり、たんなる「解説」ということ。(P165)
望月 メディアが権力や政府の動きをどこまで冷静にチェックし、伝えていけるか。
ジャーナリスト、新聞記者としての正念場だと思います。
黒崎正己著『新聞記者・桐生悠々 忖度ニッポンを「嗤う」』(現代書館)に寄せた推薦文で、望月は、
「多くの記者が長いものに巻かれ、戦争報道に突き進むなか、闘い続けた桐生悠々。今の記者にその覚悟はあるのか」
と書いているが、それは自らへの問いでもあるのだろう。(P176)
既存のマスメディアが、問題だらけなのは言うまでもない。賭けマージャン問題は、起こるべくして起きた問題だ。記者クラブ制度の中で、長年にわたって育まれてきた権力とメディアの「癒着」は、SNSが発達してきた現在、世論から厳しい批判の目にさらされていることを、メディアに携わる私たちはもっと自覚しなければいけない。(P186)
いまの記者は、みな揃っておとなしく、サラリーマン化が進んでいる。型にはまったこと以上の行動をするのを極端に恐れるあまり、取材相手を追求し、本音を吐き出させようとする気迫が感じられない。(P186)
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直近でいえば、望月衣塑子さんに強く興味を持ったのは、原案を書かれた『新聞記者』という映画を観たからです(2020.7.25の記事)。
原作小説も是非読んでみたいですね。米倉涼子さん主演で2021年にNetflixでドラマが配信されるようですし、そちらも楽しみにしています。