ザイム真理教

ザイム真理教
著者:森永卓郎
発行:2023/6
三五館シンシャ

僕は森永卓郎氏が嫌いだった。
けれど凄い本を出したものだ。
本音直球権力者への忖度なし。
死を賭して日本経済への警鐘。

読んで気になったところ

 財務官僚の最大の特徴は、増税を心の底から「正義」と信じてやまないことだ。税の徴収と再分配こそ、国家権力の礎、日本一優秀な我々が、規律を守ってカネを回すことこそが、日本の繁栄につながる 彼らは本気でそう信じているのである。(中略)そんな総理が今、東大受験の失敗以来、最大の「人生逆転のチャンス」を迎えている。ずっと「俺なんて足下にも及ばない」と思ってきた天下の秀才たちが、「あなたにしかできない大仕事がある」と、こぞって頭を下げに来るのだ。(中略)こうした「ゆがんだ使命感」に岸田総理が目覚めてしまっているのだとしても、不思議ではないだろう。P40~41

 普通の宗教は、プラスの説教をメインに、マイナスの説教を補足的に使う。たとえば、「お祈りを続ければ天国に行けます」というのをメインに、「嘘をついたり、他人をだましたりしたら地獄に落ちますよ」という教義を作るのだ。それは、信仰を通じて、人々が幸せになる社会を作ろうとしているからだ。(中略)
 一方、カルトの場合は、まずマイナスの説教がメインとなる。「あなたには悪霊がついている」「あなたは原罪を抱えている」・・・・・・。そうした言いぶりで不安をあおり、恐怖心を高めていくことでマインドコントロールの第一歩に結び付けるのだ。P46~47

 負債の1661兆円から保有資産の1121兆円を差し引くと、資産負債差額は540兆円となる。これが本当の日本政府が抱える借金なのだ。2020年度の名目GDPは527兆円だから、借金のGDP比は102%だ。GDPと同額程度の借金というのは、先進国ではごくふつうの水準だ。日本の財政が国際的にみて悪いと言う事実はまったくないのだ。(中略)
 じつは日本政府が抱える本当の借金は、ほぼゼロなのだ。資産負債差額が2020年度末で540兆円あるが、そこに日本政府が手にしている通貨発行益の532兆円を加えると、日本政府が本当に抱えている最終的な純債務はわずか8兆円にすぎないのだ。P58~62

 つまり、森友学園に8億円の値引きをして国有地を売却したのは、本省からの指示だったということになる。(中略)
 私の当時の見立ては、「消費税引き下げを画策し始めた安倍総理を失脚させるため、財務官僚があえて叩き売りをして、安倍総理のスキャンダルに仕立てようとした」というものだ。
 これに対して、ある元経産官僚は、「官邸で経産官僚が重用されるようになり、危機感を感じた財務官僚が、安倍総理を喜ばそうとしたのではないか」と言った。
 いまになってみると、元経産官僚の見立てのほうが正しかったようだ。P110~111

 2020年8月28日に安倍総理が辞任の意向を発表した。その時点で、私は二つのことが確実に起きると確信した。一つは、日本が重税国家になることと、もう一つは日本経済の転落が加速するということだ。
 安倍元総理は、自民党のなかで唯一といってよい「反財務省」の政治家だった。(中略)そして、財務省は官邸のなかで、かつての絶対的権力者の地位を取り戻したのだ。P117

 ところがザイム真理教は、財政破綻をすれば、ハイパーインフレや国債や為替の暴落が起きるぞと脅したうえで、必要のない増税を繰り返して、国民生活を破壊してしまうのだ。(中略)
 2010年度の国民負担率は、37.2%だった。それがどんどん上がっていって、2022年度には47.5%と、ほぼ5割に達している。働いても半分が税金と社会保険料でもっていかれる計算だ。P122

 なぜ、日本経済がこの30年間、ほとんど成長しなかったのかという疑問がしばしば提起されている。
 日本企業がイノベーションを怠ったからだとか、終身雇用・年功序列処遇が時代に合わなくなったからだとか、企業が雇用を守るために賃金を抑え込んだからだなどといろいろな意見が出されているが、この表を見れば、答えは明らかだろう。
 日本経済が成長できなくなった最大の理由は「急激な増税と社会保険料アップで手取り収入が減ってしまったから」だ。P135

大手新聞社とザイム真理教の関係
 ザイム真理教の正体がこれまで明らかにされなかった背景には、ザイム真理教に強力なサポーターと強力な親衛隊がついていたことが大きい。サポーターは大手マスメディアと富裕層、そして親衛隊は国税庁だ。P150

 たとえば、大手新聞社は、統計が発表されたり、予算編成が進むたびに「日本の財政が厳しい状況にあり、このまま次世代に借金を付け回すのは好ましくない」というザイム真理教の教義を垂れ流している。(中略)
 そして、10兆円を超える防衛関係費を計上したにもかかわらず、プライマリーバランス(基礎的財政収支)の赤字が、前年度の13兆円から、10.7兆円へと、2兆3000億円も改善したことはどの新聞も報じていない。(中略)
 大手新聞社の本社はいずれも東京都心の一等地に立地している。(中略)このすべてが国有地の払い下げを受けたものだ。(中略)大手新聞はこぞって森友学園が安値で小学校用地を取得したと批判したが、それよりずっと以前に自ら格安払い下げを受けていたのだ。そうした経緯があったら、財務省を批判する記事はなかなか書けない。
 もうひとつ、新聞社には大きな疑惑がある。2019年10月から消費税率が10%に引き上げられた際、食料品とともに定期購読の新聞は、軽減税率が適用されることになった。生活必需品という理由からだが、生活必需品である電気やガス、水道は軽減税率の対象とならなかった。電気やガス、水道よりも、定期購読の新聞が生活必需品という理屈はどう考えても理解しがたい。P150~154

 ザイム真理教のもう一人の強力なサポーターは富裕層だ。
 富裕層を味方につけておけば、財務省が天下り先に困ることはないし、何よりも富裕層は政治的な力を持っているから、教団を守ってもらうのに都合がよいのだ。だから、ザイム真理教が負担増を押し付けるのは庶民が中心で、富裕層の負担は目立たないように、しかし猛烈に低くしている。(中略)
 私の知っている富裕層はほぼすべての支出が会社の経費だ。消費税をほとんど支払っていないことになる。富裕層にとっては消費税がいくら上がっても、懐は痛まないのだ。(中略)
 カルト教団の多くでは、富裕層やエリート層が、一般信者と異なる待遇を与えられるのはよくある話だ。ザイム真理教でもその構造はまったく同じだ。庶民は教団の集金ターゲットとしか扱われない。P154~166

最強の親衛隊・国税庁
 富裕層やエリートが財務省に逆らえないのは、単に自分たちを優遇してくれるからだけではない。財務省の外局である国税庁が幅広い裁量権を持っているからだ。(中略)
 国税が怖くて、誰も盾突くことができない。このことがザイム真理教への批判が世に出てこない一つの重大な要因になっている。P166~168

 本書を書こうと思ったのは、生活が厳しくなる一方の日本国民に、財政の真実を知ってもらい、財政均衡主義からの脱却が、国民生活を改善するために絶対に必要だということを理解してほしいと思ったからだ。(中略)
 本書は2022年の年末から2023年の年初にかけて一気に骨格を作り上げた。その後、できあがった原稿を大手出版社に持ち込んだ。ところが、軒並み出版を断られたのだ。「ここの表現がまずい」といった話ではなく、そもそもこのテーマの本を出すこと自体ができないというのだ。
 岸田政権になってから、言論の自由が急速に失われてきたことは、私も肌で感じていた。新聞には政権批判が書きにくくなり、テレビの情報番組はコメンテーターがお笑い芸人とアイドルに次々に置き換えられていった。(中略)
 正直言うと、私は出版をあきらめかけていた。そんななかで三五館シンシャだけが出版を引き受けてくれた。P187~190

 森永卓郎さん、熱い本を出しましたねぇ~。

 僕は今まで貴方のことを、陰気臭い疫病神や貧乏神のように思っていましたが、大病を患って余命が僅かと見聞きしましたが、それ故か、それにしても思っていても書けないような事を、本音直球で、日本の真の裏の権力者への忖度もなしで、死を賭しての日本経済への警鐘とは、恐れ入りました。

 誰かが言わねばならない真実も、報復で自分の基盤が崩壊する可能性を普通は考えるし、家族を人質に取られている状況では、黙っている人達がほとんどでしょう。

 僕は森永卓郎さんのファンになりました。凄いよ、あんた。

/)`;ω;´)

「日経平均10万円」時代が来る!

「日経平均10万円」時代が来る!
著者:藤野英人
発行:2024/1
日本経済新聞出版

藤野さん、大風呂敷広げたなぁー。
でも、見えるんだろうな。

読んで気になったところ

 ご存じの方も多いと思いますが、「伊藤レポート」の多岐に渡る指摘や提言の中でも特に重要だったのは、「ROE(自己資本利益率)の目標水準8%」を宣言したことです。P20~21

 そして今、私は日本がデフレからインフレへと転換しつつあると考えています。おそらく、再び日本の株式市場は激変するでしょう。P70

(前略)今後は、競争力があって自社の商品・サービスの値上げを実施でき、それによって給与など従業員の待遇を改善できる企業だけが生き残って成長していくことになるでしょう。(中略)労働力不足が日本にインフレを引き起こす大きな要因になるのです。P81~82

(前略)しかしEV化が進めば、リチウムなどの希少金属の需要がさらに爆発することになります。今後、天然資源価格の上昇は避けられないでしょう。(中略)
 私は、日本においてインフレ経済はすでに始まっており、長期的に続くと考えてよいと見ています。P85

「日経平均株価10万円」は、①インフレの進展、②大企業の変化、③次なる希望を示す新興企業の台頭の3つが揃わなければ達成しないかもしれませんが、私は大企業の変化と新興企業の台頭については楽観しています。「10年後に日経平均は10万円になる」と言っているのは冗談ではなく、本気です。P89

◎デフレで「仕事嫌い」「会社嫌い」になった日本人(中略)
日本の働く人たちは「自己研鑽」の気持ちも低い
2022年に行った調査
研修・セミナー、勉強会等への参加 11.6% 最下位
通信教育、eラーニング 7.1% 最下位
語学学習 9.9% 最下位
副業・兼業 8.9% 最下位
NPOやボランティア等の社会活動への参加 3.4% 最下位
勉強会等の主催・運営 2.9% 最下位
大学・大学院・専門学校 1.7% 最下位
とくに何も行っていない 52.6% 圧倒的1位
P106~109

◎投資の第一歩として「ありがとう」を言う
 そこで、今すぐできることとして皆さんにぜひやっていただきたいのが、「ありがとう」を言うことです。(中略)
 たとえばコンビニのレジで会計をしたとき、店員さんに「ありがとう」と言ってみましょう。職場でも、車内外の人に積極的に「ありがとう」を言ってみてください。もちろん家庭内でも「ありがとう」を増やしていきましょう。(中略) 
◎「ありがとう」が生む大きなリターン(中略)
リスクゼロで意外に大きなリターンが見込める投資なので、ぜひ皆さんも実践していただければと思います。
P110~112

投資でAIに勝つには「10年先」を見る(中略)
◎10年先を見る投資が、結果的に短期の運用成績も上げる(中略)
いずれにしてもここで重要なのは、「10年後の未来は、すでに存在している」ということです。(中略)
「あるべき未来を提示して選択していくという投資こそが、結果的に儲かる」。そう私は信じています。P128~134

 IT業界で成功した人たちがこぞって宇宙を目指すのは、道楽やロマンではありません。彼らは、宇宙ビジネスが近い将来に大きく成長することを確信しているのです。P166

(前略)これからは業界の融合が進むだろうということです。(中略)業界の枠を超えてビジネスを拡大していく融合型企業が台頭していくことになるでしょう。P208

 本書で著者は、「けっしてバラ色の世界というわけではありません」とも言っておられますが、持つ者は豊かな、持たざる者には厳しい時代が到来する、ということでもあります。

 なんか、そんな気がしてきたな(笑)。恐ろしくもある。大変な時代が来るな。

 自分の半生を振り返った時、いま思うのは、半分は捨ててしまって、もう半分は新しいことに挑戦しないと面白くないだろうなと思っています。

 僕は、本業以外にいくつかの副業をしていますが、本業とは全く異なる業種の「ありがとう」というお客様の言葉、本業では知り得なかった業界の人達の言葉に、本業で荒んだ心を癒され、働く喜びを再認識し、誰かの役に立って社会の歯車の一つになる喜び、家族の存在への感謝の気持ちの気付きなど、副業には本当に助けられてきました。

 余談でしたか(笑)。

 面白い本でした。是非一読をお勧めいたします。サクっと読めますよ!

87歳、現役トレーダー シゲルさんの教え

87歳、現役トレーダー
シゲルさんの教え
著者:藤本 茂
発行:2023/11
ダイヤモンド社

読んで気になったところ

①増収・増益になっているか?
②増配になっている、あるいはその余地があるか?
③「PER」「PBR」は割安か?
④ローソク足は「買い場」「売り場」を示しているか?
⑤RSI(相対力指数)の数字は「売られすぎ」「買われすぎ」ゾーンにあるか?
⑥売買が活発に行われているか?
 P017

収益率のなかでも、とりわけ「経常利益」「純利益」を見るようにしています。 P134

一目均衡表 P173

買われたものを売りに行く。売られたものを買いにく。
買うタイミングは、「安い」と思ったときですし、売るタイミングは「高い」と思ったとき。基本的には、それだけの話です。
 P176

RSIは私のなかではかなり有力な指標として、日々取引履歴を書き留めるノートにも記載しています。 P178
RSIが29%であれば、思い切って買ってもまず失敗しません。 P179

まずはRSIとローソク足を駆使して買い時や売り時を判断するのが基本。そして、使いやすいテクニカル分析を試してみて、自分のやり方を確立することをオススメします。 P182

『会社四季報』を使い倒す
全ページに目を通します P189

「仕手株」にはご注意を P229

薬を飲んで健康のために生きる生活より、何か1つでも打ち込めるものを見つけて、その打ち込めるものを追求するために時間を使ったほうが、「最後まで自分の人生を全うできた」と言えるのではないでしょうか。私は心底、そう思うんです。 P257

「相場師は孤独を愛す」 P269

恐れ入りました。_(_^_)_

著名なトレーダーですが、新聞広告で著書の出版を知り、

買い求めて、読ませていただきました。

共感したところ、教えを請うたところ、多々ありました。
非情にシンプルに解りやすく書かれており、やはり著者は非凡な才能ある超努力家の本物中の本物の歴戦のレジェンドトレーダーだと思いました。

面白かった~。
死ぬまで現役のスタンス、最高ですね!

トレードで行き詰まったときに読む本

トレードで行き詰まったときに読む本
自分を知ることから始まる相場心理学
著者:マイケル・マーティン
監修:長尾慎太郎
訳者:井田京子
発行:2023/11
パンローリング

読んで気になったところ

勝ちトレードは保有し続け、負けトレードは損切りする。そして、リスクを管理し、逆指値注文(ストップ注文)を活用し、自分のシステムを使い続け、ニュースは無視する、(後略)P8

私の経験では、新しく建てたポジションが逆行すると、その動きは続くことが多い。良いトレードは、たいてい最初から利益が出るものだ。P30

(前略)トレーディングをしているときに気づいた感情をすべて日記に記録しておくとよい。P32

「結局、負けが負けを呼びます。負け始めると、心の中のマイナス要素に火が付き、悲観的な気持ちになります。トレーディングには集中力が求められ、そのためには事前の準備が必要です。(後略)」P97

ジム・ロジャースの言葉を借りれば、「含み損などというものは存在しない」。大きな損失も、最初は小さい損失だったはずだ。10%の損失は、2%の損失や5%の損失を経てそこまで大きくなったのだ。負けトレードは、のど元に迫るまで待たずに、膝の高さぐらいで損切りしてほしい。

トレーディングで利益を上げるには、小さい損失を受け入れること(もしくは何もしないで勝ちトレードを伸ばすこと)しかないことを理解していれば、気持ち良く小さな損失を受け入れられるだろう。P193

うまくいったことは必ず記録してほしい。成功トレードが今のあなたを導いてきてくれたのだ。さらに、朝の15~30分を使ってこれらのことを考え、自分をプラス思考にセットする時間を作ってほしい。P200

ひとつのツールや手法のスペシャリストになるということである。P204

人間の脳はすべてのインプットに反応するが、なかでも自分自身のために作り上げたインプットに最も反応する。自分が使いたいインプットを書き溜めていけば、利益を上げるために自分が望んでいる道が見つかる。P205

ウォーレン・バフェッドでさえ、PERが高すぎるという理由でマイクロソフトやアップルを買い損なった。自分の考えが正しかったことに「世界中の人もいずれは気づく」と思うのはあまりに傲慢だ。株や商品の価格はマーケットが決めるもので、アナリストが判断するものではない。P232

 タイトルのようにトレード関連の本なのですが、多くの事に共通する教えだなぁと思いました。

 最近は非効率な日常生活に忙殺されて、なかなか本を読む気にもなれなくて、積ん読の蔵書が増えてしまいましたが(読もうと思って買っても読めていない・・・笑)、今年は時間を作って、積ん読の蔵書を読みたいと思っております。

地域や漁業と共存共栄する洋上風力発電づくり

地域や漁業と共存共栄する
   洋上風力発電づくり
著者:渋谷正信
発行:2021/3
KKロングセラーズ

 異常気象が人々に実感として体感されるようになって、従来からの文明生活の継続性に限界が見え始め、国策からビジネスへと再生可能エネルギー導入のウェーブが起こって、太陽光や風力発電が注目されています。

 今現状として、最もエコロジー&エコノミーな乗り物は自転車(笑)で、オートバイ、軽自動車、リッターカー、ハイブリッド、電気自動車と続く感じでしょうか。

 世の中的にはEVがエコカーということになっていますが、製造から廃棄に至るまでのトータル二酸化炭素排出量は、発電やバッテリーの廃棄まで考慮すると、現状ではEVは未だ不利だと思っていますが、近い将来に再生エネ発電が普及し環境負荷の軽いバッテリーが普及すれば、価格も含めてEVの環境優位性は増すものと信じています。

 などと前置きが長くなりましたが、再生エネの太陽光発電は見ていてつまらないんですよ・・・無表情で静かだし・・・。そこへいくと風力発電は風車がグルグルと回り、風切り音が聞こえたり、ジブリ映画にも風車は出てきますが、文明的な歴史もあって、面白いんじゃないかって僕は思っているのかな?

 海の中に構造物をつくれば、海の環境が悪くなって、魚や海藻は寄り付かなくなるのではないかという話をよく耳にします。
 ところが実際に水中を観ると、風の塔や海ほたるの海中は魚や海藻の楽園になっていたのです。(P30)

 また、自分の内側を見つめるという「内観」も体験しました。今思い返すと、弟の自殺や部下の裏切りで精神が弱っていたようでした。
 わらをもすがる気持ちで内観に取り組んだと思います。
 内観をする際、三つのテーマが与えられました。
・お世話になったこと
・お返ししたこと
・迷惑をかけたこと
 生まれたときから現在まで、この三つを手掛かりにしながら、父や母について丹念に記憶の中から「事実」を調べていくものでした。(P53~54)

オランダ・イマーレス研究所が教えてくれた「海はとても豊かになっている」
 リンデブーム博士の調査の結果は次の通りでした。
 洋上風力発電の風車が建っている海域では、確実に魚介類が増えていました。私がアクアラインの海中で体験したのと同じことが起こっているのです。
 海鳥も増えていました。魚が増えれば、当然のことながら、それを餌とする海鳥も集まってきます。(P78~79)

五島の沖につくられた一基の洋上風力発電。その海域を調べたら、次のようなことがわかりました。
①洋上風力発電は電気をつくるだけでなく、良好な漁場もつくれるのではないか。一石二鳥で環境と漁業資源戦略になるのではないか、ということ。
②ヨーロッパのように洋上風力発電がたくさん並ぶ海は、大漁場になる可能性が見えてきたこと。
③漁業者の方のヤル気をきびしい磯焼けの海に向けることで、海藻(ヒジキ)を再生することができたこと。
④洋上風力発電を建設するには漁業者の方との協力が不可欠だということです。(P128)

 洋上風力発電は、主目的は電気をつくることであっても、風車の水中部をエコロジカルデザインにすることで海の環境が回復して漁業が豊かになり、漁業が活性化することで地域が豊かになるというサイクルができ、周辺の住民にとっても大きな喜びを生み出すことができると思っています。
 CO2を削減するエネルギー問題解決と同時に、海の環境や漁業の再生・活性化ができる洋上風力発電の普及をめざしています。(P141~142)

 著書にありましたが、持続可能な社会を目指す上で、再生可能エネルギーの比率を上げるしかありませんし、環境の面ではもちろんのこと、ビジネスの面でも大きな期待が持たれていますし、課題はまだまだたくさんあるようですが、風力発電って面白いと思いますよ!

北条早雲

北条早雲
著者:池上裕子
発行:2017/7
山川出版社

 戦国大名 小田原北条氏の祖、北条早雲(伊勢盛時)についての小冊子。

 伊勢盛時は、自身では北条を名乗ったことはなく、子の氏綱の代に、(氏綱が)鎌倉北条氏末裔の女性との婚姻(P86) や 扇谷・山内両上杉氏打倒、武蔵制圧、房総侵攻継続を当面の目標とし、ひいては関東に覇を唱える構想(夢)があったであろう。上杉苗字に対抗できる名乗りとして、北条を選んだに違いない。伊豆での拠点の辺りが北条と呼ばれたこと、鎌倉北条氏が伊豆から相模に進出し、幕府の執権となったことなどが念頭に合ったかと推測される。それはまた、由緒ある伊勢名字に決別し、関東支配に軸足をおいたことを意味しよう。(P87) ということで、北条と名乗るようになったようです。

 京都では、室町幕府と関係の深い武家に生まれ育ったとはいえ、少数の家来を引き連れて伊豆に小さな足掛かりを築いてから、そこから伊豆と相模の二か国を平定し、後に関東の覇者となった小田原北条氏の礎となった伊勢新九郎盛時(北条早雲)とは、先見性と実行力と人心掌握術に長けた天才創業経営者であったともいえるのでしょうね。

 近場の城跡を訪ねると、小田原北条氏に必ず関係してきますので、暫くは北条さんから目が離せません(笑)。

ハゲタカ2.5ハーディ下

ハゲタカ2.5ハーディ下
著者:真山仁
発行:2017/11
   2011~2013 雑誌掲載作品
講談社文庫

途中まで読んで、積ん読になってました。
(;^_^A アセアセ・・・

ハゲタカシリーズは1~5まで既読です!

本作は2と3の間のスピンオフ作品で、
読むのを再開したら、やっぱ面白いです。
待っててくれる紙の本はやはり、イイネ!

って、上巻の時に書いてたのですが、
ホントにそのまんまの気分でやんす。

土曜の夜と日曜AM

 昨夜は拝島で17:30に合流して、2020.11.29に飯能から入間川・荒川沿いを東京湾まで折りたたみ自転車で一緒に走った俊敏さんと飲むことになりました。

 「断わられるのも楽しもうぜ」と、予約なしで人気店の『大柴』さんの戸を一寸期待して潜ってみるも、やはり「満席です」と丁重に断られ(笑)、次の店もダメだろうな(笑)と逆期待してお向かいの『ハイカラ酒場』さんの戸を潜ってみたら、「お二人様どうぞ~」と一つだけ空いてたテーブル席に座れました・・・ラッキーですね!というか、もっと空席を探して徘徊してもよかったのですが・・・。

 ハイボールを飲みながら、串焼き盛り合わせ、とんぺい焼き、もつ鍋、枝豆、塩昆布キューリ、ポテトフライ、じゃがマヨ明太チーズなど美味しくいただきました。

 積もる話はお互いに盛沢山でしたが、特に食に関してはお互いに好き嫌いがないことや、出てくる食べ物に関しては、大抵食べてしまう等、食癖が似ていることや、学生時代の似た境遇・・・(爆)で盛り上がりました!

 俊敏さんは会社経営者でもあり、苦境に負けない力強い目力が印象的で、元気をいただきました。

 帰り際、駅前のコンビニで奥方様へ(酔っ払って電話して)のスウィーツを買って帰途につきました。途中で福生の七夕祭り帰りで友人と立ち話をしている小娘に遭遇。ご機嫌に「〇〇〇ちゃんのパパです」と手を振って挨拶しながら通り過ぎました(笑)。

 翌朝はゆっくり起きて(11時間爆睡)、午前中に小一時間ほど多摩川河川敷にて、ごみ拾い散歩を楽しみました。

 面白いもんで、吸い殻などの小物は袋の下に溜まり、マスクや紙コップなどの大物(笑)は袋の上に待機していて、割れたビンなどの危険物を拾ったときには切り口を包む梱包材となって袋が破れないように役立ったりして、拾う前後の因果関係に運命めいたものを感じたり(笑)、その思い付きの一手先に思わぬ世界が広がっていたり・・・ごみに導かれております。

 そこそこ集まりました。スタバ や 7-11 はやはり売れているんだな~と経済活動を良い意味で実感いたしました。個数でいうと断トツで煙草の吸い殻ですが、季節柄か花火も多かったですね~。空き缶や瓶を分別して、ごみ拾い散歩終了です。
 曇り時々雨で助かりました。

 お昼(朝昼兼用(笑))は、奥方様(野口さん)のつくってくれた冷やし中華を美味しくいただきました。

 よし、これから積ん読になってる本でも読もうか!

新九郎、奔る! 13

新九郎、奔る! 13
著者:ゆうきまさみ
発行:2023/4
BIG SPIRITS COMICS SPECIAL

 戦国大名 小田原北条氏の祖、伊勢新九郎盛時(北条早雲)の物語。

 伊勢盛時(北条早雲)の若い頃は、親の代からの借金の返済に苦労したようですね。
 しかし、「京でそれなりの活動をするにはそれなりの銭がかかる。」「贈答やら任官の礼銭やら酒宴の開催やら。」「家格が上がればそれだけ出費がかさむ。」etc・・・。
 跡取りは、プラスの財産の相続の恩恵ばかりが語られますが、マイナスの財産という負債の返済責任も引き継ぐわけで、昔も今も大変だなぁ~と思った次第です。

 表紙帯にもあるように戦国大名の先駆けともいわれる伊勢盛時(北条早雲)さんですが、東荏原の領主を辞し、少数の家来を引き連れて新天地の伊豆にいかにして足場を築いていくのか、いかにして相模や武蔵に覇を唱えていくのか、今後の展開が楽しみですね!

 面白いのは、刀の時代の軍記ものや城跡の本を読んでいると「歴史が好きなんだね」と割と好意的に言われますが、戦艦や戦闘機の時代の軍記ものや要塞の本を読んでいると「軍国主義なんだね」と暗に批判的に言われてしまいます・・・。
 いかに先の大戦へのアレルギーが日本人の心のDNAに残っているのかの、ひとつの正しい反応なのかな・・・とも思った次第です。

 平和が一番です。
 ですが平和は現に脅かされます。
 ではどうやって平和を維持するのか?
 答えは自然界にあるのかも・・・。

 僕には小さいことしか出来ませんが、
 面白がって生きたいと思ってますが!

立河氏館跡(昭島市中神町)

6/10、小さな城跡を検索していたら、昭島の中神町に立川照重館跡とある。
ちょっと気になるじゃないですか。
スカーレット号で行ってみましょう。
14:00頃に現着しました。

立川の砂川に育った僕は、多摩川での釣りや川遊びでよく自転車で通った中神坂(昔はもっと狭かったような・・・)の上のお寺さん(福厳寺)が館跡のようです。
へぇ~・・・ここがそうなんだ。
子供の頃は全く館跡なんて思いもせず、意外さや懐かしさとともに、何気なく通り過ぎていた身近な街並みにも、激動の歴史が埋もれているのだなぁ~と感慨深いものがあります。

中神坂交差点より館跡(福厳寺)を見る。

これも立派な玉石積ですね。
左右で石の大きさが違うのが興味深い。
施工年度が違うのか工事人が違うのか。

館跡の南側には防空壕の跡があります。
こういう部分にも歴史が残っています。

福厳寺さん本堂に参拝してから境内散策。
土塁や空堀などの遺構は不明でした。

案内板は文字が薄くて判読し難いです。

手持ちの資料の昭島の歴史によると

P79>
 『新編武蔵風土寄稿』には、福厳寺の項で「(福厳寺は)村の伝承によると、天正(1573~92)以前、立河宮内少輔一族の館があったところである」としています。確かに福厳寺は、普済寺の末寺になっています。
 また寺には『福厳寺境内及び除地絵図』(明治4年)があります。これには、かつて居館であったことを推測させる、土塁が描かれています。

P69>立河氏
 武蔵七党の、西党日奉氏の一流。宗恒の代から立河氏を称したという。
 鎌倉時代、現在の立川辺りの地頭であった。1213(建保元)年、和田義盛の乱で、西党21家が加担し、北条義時に滅ぼされた中で、平山氏と共に北条氏に味方し、その後も生き残った。
 室町時代は、土淵郷(現日野市)の地頭を兼ね、文和年間(1352~56)現在の柴崎町に普済寺を建てた記録がある。現在土塁が残るが、館との関係ははっきりしていない。
 柴崎八幡宮(現、諏訪神社に合祀)の本地仏阿弥陀如来に、天正14年(1586)年の背銘が残っており、立川照重の名がみえる。
 1590(天正18)年、北条氏の滅亡と共に、滅びたとされる。

とのことでした。

臨済宗建長寺派寺院名鑑によると

P74>智勝山 福厳寺
開基萬松和尚が夢窓国師を開山に観請して創建(1624)。寺域は往時武蔵七党一派の立川宮内少輔一族が居館した跡という。

とのことでした。

多摩川沿いの断崖沿いには多くの城館跡が点在していますが、断崖は湧き水が豊富で当時の農業には必須で、そこを抑える為と地形を生かした防御上の利点も高かったのでしょう。

兵どもが夢の跡・・・何を想いますか。