国運の分岐点

国運の分岐点
中小企業改革で再び輝くか、中国の属国になるか
著者:デービット・アトキンソン
発行:2019/9 講談社+α新書

(2019年の87冊目)

読んでいて気になったところ

「失われた20年」は実は、「賃金の低下」によってもたらされた蟻地獄のようなデフレの渦に飲み込まれ、もがいてきた歴史とも言えるのです。(P47)

人口が減少しているにもかかわらず、人口が増加しているアメリカの真似で規制緩和をしたことで、「賃金の低下」を引き起こしてしまった。(P48)

人口増加が低迷したとしても、生産性をきっちりと向上していけば先進国は経済成長することができるということです。(P52)

人口増加による経済成長が期待できないいまの日本に求められている生産性向上のためのグランドデザインの中核は、日本中の会社の規模を大きくしていくことに他ならないのです。(P77)

大企業・中堅企業を増やすということは、小さな規模の企業で働いている労働者を集約させていくしかありません。そうなると結果として、小さな企業の数は減っていきます。(P99)

これからの日本の「国益」を守るには、「賃上げ」と「生産性向上」しかないのです。それを実現するには、各企業の規模の拡大による生産性向上が必須です。(P155)

目先の利益しか見えない経営者 (P170)

ミクロ企業倒産はむしろ善 (P175)

つまり、「最低賃金が上がったら倒産会社が溢れかえる」と主張する経済学者、評論家の皆さんは、「日本の経営者は究極に無能だ」「日本人は成人してからは成長できない」と叫んでいるのと同じです。こんな侮辱を許していいのでしょうか。(P193)

給料を上げれば、会社の統合・再編が進みますので企業数は激減します。それは、社長の数も激減することを意味します。つまり、生産性向上をしていくことの本質とは、労働者ではなく社長の失業率が上がることなのです。(P197~198)

「国益=賃上げ」であり、「企業の利益=賃下げ」です。経済活動も国があってのものですので、やはりまずは「国益」を守らなくてはいけないということは言うまでもありません。(P200)

中小・零細企業に重点を置くのか、中堅・大企業に重点を置くのか。産業政策は時代に合わせるものなので、人口増加なら前者、人口減少なら後者に重点を置くべきであるのは明白です。(P201~202)

先進国のGDPは、その国の人口と見事に連動しています。日本が世界第2位の経済大国になれたのは、アメリカに次いで先進国第2位の人口規模だからです。(P225)

日本のこれからを見据えて、「デフレ」や「低成長」という罠から抜け出すためには生産性向上、つまりは賃金の引き上げが必要不可欠です。そのためには、生産性を低くしている小規模の会社を整理統合して、企業規模を拡大していくしかありません。(P228)

「中小企業は日本の宝」と持ち上げるのをやめて、「伸びる企業が日本の宝」に頭を切り替えなければいけません。(P230)

日本社会の全体の傾向としては、既にそういう流れに好むと好まざるとにかかわらず、そういう方向に動いているのかなと感じています。小さなお店や会社はやっていけないので。よく、ニュースで後継者不在で廃業って聞くけど、実際はそうじゃない。儲からなさ過ぎて、事業の跡を継ぐ人間がいないってことだよね。

でもさ、そんななかでも、少数派でいい、キラリと光る小さな工房があったら、楽しいよね。特殊技能を持った人達の集まりみたいな。大組織に所属することが苦手な曲者たちの集団。面白いぞ、きっと。大きな組織にゃ出来ないことだってあるのさ。

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