14:生涯投資家
著者:村上世彰
発行:2017/6
文芸春秋
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読んでみたいと思ってたんですけど、
三年間、読みそびれていました。
著者さんは、元村上ファンドの村上さん。
ライブドアのホリエモンさんに関連して、
インサイダー容疑で逮捕され、
執行猶予付きの有罪となった事件は、
日本中を賑わしましたよね。
インサイダーだったのか、否か、
当時はいろいろ言われていましたが、
インサイダーなんて、みんなやってるよ、
その気になれば投資家は全員逮捕になる、
なんて多くの国民は思っていたのでは?
何故逮捕されたのでしょうか・・・。
そこだよね。
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雑誌でホリエモンさんと対談していた、
その時の村上さんの記事を読んで、
村上さんの書いた本を読んでみたい。
そう思ったんですよね。
村上さんは恐ろしく頭がいい。
村上さん・僕・犬と並ぶとすると、
僕の頭脳は犬に近い気がする。( ´艸`)
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さて、読んでみて、
世帯資産の内訳をみると、日本では現預金が50%超、株式・投資信託・債券で18%ほどだ。アメリカでは50%ほどが株式・投資信託・債券での保有で、現預金は10%超に過ぎない。従業員へのストックオプションの提供が日本と比較して圧倒的に多いこともあり、「投資こそが将来への貯蓄」と広く認識されているように見える。一方、日本では、会社も家計も、みんなが資金を手元に貯め込む。片っ端から預金という形で塩漬けにしていたのでは、お金は世の中を回らないし増えてもいかない。だから株式市場は活性化せず、株価も上がらない。すると、お金が「必ず増える」と思えないから、ますます投資をしない。まさに悪循環に陥っているのだ。(P201~202)
アメリカの企業では、手元に積み上がってきた資金や投資された資金は、M&Aを含めた事業投資を行なうなど、企業価値を向上させるために積極的に使われる。使い道がなければ株主に還元し、また必要になったら市場から調達する、という流れが当たり前にできている。「手元に残さない」経営だ。そうやって資金を循環させることで、上場企業はさらに多くの投資を呼び込み、業績が拡大する。それが株式市場のみならず、経済全体の成長につながっているのだ。(P210)
一定の水準を超えて利益を留保に回す企業には、内部留保課税を課すべきであり、米国では導入されている。(P222)
国の人口を増やすには、出生率を上げるか、外国人労働者や永住者を多く受け入れるか、のいずれかしかない。まずは出生率を上げることを優先し、大胆な優遇措置を設けるべきだ。 (中略) たとえば第一子を出産すると同時に、一括で二百万円の給付を行う。第二子以降は、さらに大きな金額を給付する、または育てる子どもの人数に応じて、年間二百万円からの所得控除を子どもたちが成人するまで適用する——。このような優遇措置のいずれかを世帯ごとに選択できるようにし、子どもを持つことに対する経済的な不安を軽減しなければならない。(P235)
増え続ける日本の借金は、高齢化と大きく関連している。高齢者比率の上昇を主な要因とした、社会保障費の増大に原因があるからだ。保険料収入で賄いきれない社会保障費を赤字国債の発行によって補填し続けており、その額は毎年四十兆円ほどに及ぶ。残高は今や一千兆円を超え、なお増加し続けている。(P237)
日本にはお金がある。日本政府は五百兆円を軽く超える金融資産を保有している。対外純資産残高も三百兆円を超えていて、長年世界一位だ。家計の金融資産も、一千七百兆円以上あると言われている。すぐに換金可能かどうかなどの細かい議論は置いて、端的に言えば日本にはまだまだお金がある。政府にも個人の世帯を見ても、お金はあるのだ。それなのに世界一の借金大国になっている。なぜなのか。私の答は簡単だ。「お金が循環していないから」という理由に尽きる。(P238)
私は、これからの日本にとって何よりも大切なことは、資金の循環だと信じている。資金の循環は、投資を中心として起こる。投資をし、リターンを得てその投資を回収し次の投資を行なう、という流れは決して悪いことではない。もちろんリターンを得られることも得られないこともあるが、そうやって日本のあちこちで塩漬けになっている資金を回していくことの重要性を、これから日本を支えていく若者を中心に、伝えていきたい。ちょうど村上財団を設立したこともあり、私のライフワークの一つとして、投資に関する教育、啓蒙活動を新たな挑戦としてみようと思っている。(P276)
など、特に印象深く残りました。
日本の一丁目一番地の重要な論点ですね。
日本はゆっくりと国家存亡の危機に、
沈下していると実感することも多い。
人口問題と資金循環を解決できれば、
きっと新しい日本が始まると思います。