22世紀の民主主義

22世紀の民主主義
選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる
著者:成田悠輔
発行:2022/7
SB新書

読んで ぐっ と来たのは、

逆に、この本の内容を再利用したい場合はジャンジャンやってしまってほしい。私に連絡する必要も名前を記す必要もない。切り抜くなりパクるなりリミックスするなり自由にしてほしい。自分のシマや功績が増えることより、世界や政治がちょっとでも変わることの方が楽しいからだ。(P28)

民主主義的な国ほど、今世紀に入ってから経済が低迷しつづけている。(P46)
「民主主義の失われた20年」とでも言うべきこの現象は、中国と米国を分析から除いても、G7諸国を除いても成立するし、どの大陸・地域でも見られるグローバルな現象である。(P48)

「小選挙区は仕事すると票減りますよ」(中略)選挙という絆で結ばれた有権者と代議士・政治家の二人三脚は脆い。代議士や政治家は有権者に痛みを伴う即決即断や未来のための改革が苦手で、庶民の直感に反した専門家判断や技術的判断も敬遠しがちだからだ。(P76)

選挙区は地域ごとに決めていていいんだろうか?
経営者は業績次第で報酬が変わるのが当たり前なのに、政治家の報酬は固定でいいんだろうか?(P86)

ロシアや中国などの独裁者や専制政権がオウンゴールでコケたからといって、民主諸国に内在する問題は何も解決していないからだ。敵陣営の自爆を笑っている暇があるなら、味方の装備と士気の緩みを立て直さなければならない。(P87)

民主主義との闘争、民主主義からの逃走、そして新しい民主主義の構想だ。(P88)

世代間の衝突は人類の原動力でもある。歴史を塗り替えるのはいつも「若くて無名で貧乏」(毛沢東)なひよっ子だ。老害への怒りとさげすみを胸に革命を起こした若者は、しかし、やがて自ら老害化し、次の世代に葬り去られる。私たちは「葬式のたびに進歩する」(ドイツの物理学者マックス・プランクの発言からくる英語の格言)というわけだ。(P91)

だが、ほとんどの政治家は知名度も権力も中途半端なただの人で、人から気に入られつづけなければ立場を保てない。その残念な現実がシルバー民主主義を生んでいる。(P94)

政治家の目を世論より成果へと振り向けるため、政策成果指標に紐づけた政治家への再選保証や成果報酬を導入するのはどうだろう。(P96)

たとえばブラジルでは、70歳以下の有権者のみ投票が義務(罰則つき)になっていて、それ以上の年齢の有権者の投票は自由になっている。(P108)

誰かが「老害は切腹せよ!打倒シルバー民主主義!もっと若者の声を聴こう」と叫ぶとき、その人は遠くの未来は見ておらず、すぐそこの近くの未来ばかり見ていることになる。(p112)

遠い未来の人類が何を必要としているかを予測し、遠い未来の成果報酬を現在の政治に織り込むこと。(P115)

選挙なしの民主主義に向けて(中略)世界と民主主義を食い尽くすようになったアルゴリズム技術環境を逆手に取った選挙の更新だ。(P159)

集めたデータから各論点・イシューについての意志決定を導き出すのは、自動化・機械化された意思決定アルゴリズムである。意思決定は各論点・イシューについて行われる。政党や政治家についてではなく、だ。意思決定アルゴリズムのデザインは、人々の民意データに加え、GDP・失業率・学力達成度・健康寿命・ウェルビーイングといった様々な政策成果指標を組み合わせた目的関数を最適化することで行われる。民意データは「そもそも政策によって何を達成したいと人々が考えているか」という価値基準の発見のために用いられる。続いて、成果指標データはその価値基準にしたがって最適な政策選択を行うために用いられる。(P162)

民主主義とはつまるところ、みんなの意見を表す何らかのデータを入力し、何らかの社会的意思決定を出力する何らかのルール・装置であるという視点だ。(P164)

無数のチャンネル・センサーから抽出された民意データのアンサンブルの上に芽吹くのが、無意識民主主義である。常時接続の選挙なき社会的選択と言ってもいい。(P184)

「選挙で決めれば、多数派が勝つに決まっている」とすれば、無意識民主主義ではすべての人が場面や局面ごとに多数派であり少数派である。「しょせん選挙なんか、多数派のお祭りにすぎない」とすれば、無意識民主主義は多数派+少数派の日常になる。(P194)

ただ、反省しなければならないこともある。そうした技術発展を公共領域、特に民主主義や選挙に反映してゆくことに人類は驚くほど失敗してきたことだ。投票や選挙のやり方は何十年間もほぼ変わっていない。(中略)何かおかしい。懐かしいセピア色の昭和が堂々とのさばっている今の選挙や政治の仕組みは異常である。病的である。(P239)

面白い(笑)!

星新一のSF小説かと思いました。

しかしながら、
あり得るんじゃないかとも思いますね。
今の選挙制度のままでいい筈はないので。
というか、
今のままでは いけない と思います。
世の中も 民主主義も 自分も です。

特に自分が一番このままでは ダメ だ。
ふり返ってみると、
弱点と欠陥だらけの小さな僕は、
いままで本当に運が良かったと、
不思議な縁に助けられてきたと、
そうじゃなければ僕はいないと、
世間的に言えばたいした奴じゃ、
ないですけど(笑)生きてるし。

別に自虐的になってる訳じゃない。
世の中に生かされたりしてること、
感謝して考えたりすることもある。
( ´艸`)

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