
01:2020年6月30日にまたここで会おう
瀧本哲史伝説の東大講義
著者:瀧本哲史
発行:2020/4
星海社新書
日経新聞2020.12.26の記事でこの本を知りました。

2019年に瀧本哲史氏が亡くなられたというニュース、当時は瀧本氏のことを失礼ながら知らなかったのですが、この新聞を見て、当時の『惜しい方を亡くした・・・』という記者の無念の想いが詰まったような記事を思い出しました。
あの方だ・・・と。
書店で、新書コーナーに積まれていた3冊中の2冊目を手にしました。
本書は、2012.6.30に東大の伊藤謝恩ホールで行われた講義を本として収録したもので、講義は10代・20代の若者を生徒として行われたものであるとのことでした。
場所も講師も生徒も・・・僕からすると、とてつもなく縁遠い存在なのですが(笑)、現レノバが創業した当時の出資者となれば、その先見性は凄いし、気になるじゃないですか。
初詣に向かう始発電車で読み始め、前夜ほとんど寝ていないにもかかわらず、眠くなるどころか、ますます冴えてしまい、車中の友となった本書から教えを乞うこととなりました。
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読んでいて、グサリと刺さってきたのは・・・、
あと大事なのは、本を読むだけではあんまり意味がないということです。
よく本を読んで「感動した!」とか言って、明日になると完全に忘れて元の生活のままって人、すごい多いじゃないですか。それはぜんぜん意味がないと思うので、実際に本を読んでどれぐらいの人が行動を起こしたかということを、常にベンチマークとしています。(P23)
なので交渉においても、こちら側の主張をたくさんするよりは、相手側にたくさん聞いて、相手が何を重視しているかを分析したうえで、最終的に「だったら、これはどうですか?」と提案するほうが、交渉がまとまる可能性が高まるんです。
「交渉をまとめる」というと、自分たちの意見をガーガー主張したほうがいいと思われがちですけど、じつは嘘。
交渉の一般的なイメージというのはだいたい間違っていて、交渉は「言ったもん勝ち」ではなく、「聞いたもん勝ち」なんですね。(P117~118)
だいたいね、アイデアがいくら良かったとしても、ビジネスが立ち上がるまでには3年ぐらいかかるのがふつうです。そこに行きつくまでに低迷して力尽きるベンチャーがほとんどですよ。(中略)
走り続けていたから、良いタイミングが来たとき、波に乗れたんです。いい波に乗るためには、波が来るのを見てから走り出しても遅いんですね。波が来てなくてもずっと海辺に立っていなきゃいけなくて、その間ずっと、他の人から見たら「頭がおかしい人」である必要があるということです。
あなた、そうなれますか?(P175~176)
だからですね、本に書いてあることって誰でも1000円ちょっと出せば買えますから、じつはあんまり価値がないんですよ(苦笑)。
本に絶対にならないようなニッチな情報のほうが価値があるし、自分しかしていない経験とかのほうがはるかに価値があるんです。
そういう視点で、自分には何があるか、自分のまわりには誰がいるか、見渡してみてはいかがでしょうか。(P184~185)
「ボン・ヴォヤージュ(bon voyage)」って言葉を聞いたことがあるかと思いますが、僕はこの挨拶がけっこう好きなんですね。
これはフランス語で「よき航海をゆけ」という意味で、見送りの際なんかに交わされるんですけど、もともとは船長同士の挨拶になります。
自分の船を持っている船長っていうのは、リスクを自ら取っている人で、意志決定者なんです。(中略)
「俺たちはお互いに自分の判断でリスクを取っている」ということに対する敬意があるから、余計なことは言わずに、ただ「よき航海を」なんです。
そういう、自立した人間たちの挨拶だってことを覚えておいてほしくてですね、今日この場が何かのきっかけとなって変わる人もいるし、変わらない人もいるでしょう。それはわからないですけど、このなかから少しでも自分がやれることをやって、世の中を変えてくれる人がいたらいいかなと。
結局、2時間以上も話してきましたけど、「君はどうするの?」って話です。主人公は誰か他の人なんかじゃなくてあなた自身なんだよ、って話です。(P200~202)
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若い人が読むべき本だと思いますが、若い人に教えを乞うということも含めて、年配者こそ読むべき本なんじゃないかと、50代半ばの小生は痛感してしまいました。
小さなことでいいので、自分がやれることで、世の中を変えていきましょう。
そう思えた本でした。