空母いぶき7

空母いぶき7

著者:かわぐちかいじ 協力:惠谷治

発行2017/08(ビックコミック2017年第2号~第9号掲載作品)

小学館

 

物語では、与那国・多良間島や尖閣諸島が中国軍に占領されて、

自衛隊に防衛出動が出されて、奪還作戦が試みられています。

ニュースでは、日本上空を通過したICBMの話題が多いですが、

敵対勢力の脅威にどう備えていくか、もっと議論すべきですね。

平和が一番。ですが平和は守らなければ、失われてしまうもの。

どのように守ってゆくのか、厳しい現実を国民に問うべきです。

で、僕の現実は、国守以前に、家族守でギリギリ精一杯ですが。

(2017年の37冊目)

生きる職場

生きる職場

小さなエビ工場の人を縛らない働き方

著者:武藤北斗

装画:狩集広洋

発行:2017/04

イースト・プレス

 

好きな日に働く、嫌いな仕事はやらない・・・・・・

個人事業者ならともかく、真っ当な会社としてあり得るのか。

面白い取り組みを実践する経営陣がいるものですね。

 

読んでみて気になったところ

好きな日に働き、好きな日に休む。好きなことを優先させ、嫌いなことはやらない。P1

人それぞれに好き嫌いや、得手不得手があり、性格や体格、能力にも違いがあります。大人は子どもにそのことを教えますが、当の大人の世界では、そのことが忘れられがちなように感じます。P20

このフリースケジュールの原型は家族経営の会社にありがちな、親族の働き方と似ています。端的に言えば、経営者の親族だけは、子育てや私生活を優先した出勤形態になっていることがままあるのです。従業員全員がその働き方であれば問題はありませんが、親族だけというのはかなり不公平です。P80

でも、もしもその常識が間違っているとしたら、そしてその全く逆の方向、つまり信頼と自主性を大事にする働きやすい職場の先にこそ、思ってもいなかったプラスの循環があるのだとしたら、従業員を縛り管理する必要はなくなります。P88

人間は自分の居場所を求めるために、争う生き物であるということを認識し、それを前提に秩序を作っていく必要があります。争わないためにどうするか。そこが全ての基準と言っても過言ではありません。P91

人を縛らない働き方をする一方で、このように決めなければならないことは細かくルールを作っていくことも僕たちの働き方の特徴です。P93

従業員にルールを守ってもらうにはどうすればいいでしょうか。その方法の一つとして僕が行っているのは、従業員に「どうしたらよいと思いますか」という問いかけをして、一緒にルールを考え、作っていくということです。P107

人間の好き嫌いは多様で重ならないP116

自分でやると決めて、自分から立ち向かっていくからこそ乗り越えられるし、それを自分にとってプラスに捉えて、その後の人生にもよい効果をもたらしていく。他者からの強制ではなく、自分から気持ちを奮い立たせて立ち向かうことで、人ははじめて成長できるというのが僕の考えです。P122

うちの工場では欠勤の際、電話もメールも一切連絡は禁止ですし、書類の提出もありません。P133

これからどんな社会を未来に残していけるかを考え、行動してこそ、会社としての存在意義が出てくるのです。P182

考えすぎずに、これはいいかなと思ったことは、まずやってみて、その結果が出たときの自分の気持ちが、ポジティブなのか、ネガティブなのかを見極める。P198

 

東日本大震災で、宮城県石巻市の工場は津波で全壊。福島第一原発事故の放射能汚染の影響を考慮して大阪に移転。銀行から新たに借り入れ二重債務に苦しみながらも再起を図り、震災で働くことを見つめ直した著者が、実行したのは常識と大きくかけ離れた働き方だった。

常識外れの働き方の先に、働く人の幸せと、会社としての効率が両立しているとしたらどうでしょうか(P5)とあったけど、常識外れの先に新しい時代の働き方があると思います。

パプアニューギニア海産という会社に注目だね!

それとは逆に、きたるべきAI時代、人間の尊厳を蔑ろにする企業は、淘汰されてゆくような気がします。

(2017年の36冊目)

小さいことはいいことだ

小さいことはいいことだ

著者:立松和平

発行:2002/12

ウェイツ

 

元々は図書館の蔵書だった本。

図書館ホールの書架に、リサイクル本とありましたので、ありがたくいただきました。

 

読んでみて気になったところ

短命の時代の一生懸命に生きる姿が、いまわれわれの中にいちばん欠けていることかもしれません。P21

(前略)因果応報ですから、よいことをすれば必ずよい報いがある、仏さんに向かって善を積むという発想です。P40

地球温暖化問題もけっこうシビアですよ。二酸化炭素排出量なんて考えなくてもふだんは過ぎていくんだけど、考え始めたら人類の未来は絶望的な話になるね。みんなそれをわかっていても、あまり考えないようにしているわけです。P54

やはり山河を守るためには第1次産業をちゃんとしなくてはいけない。山河で人が生活できなくてはいけない。P59

離農地を考えていくと日本の農業の構造の問題、世界の貿易の問題と、問題は限りなく果てしなく拡大して深まってきます。でも目の前に耕作放棄地がある。P61

農地もいまは自然と見なすべきだと思う。そこで人は摂理にあった暮らしをしなければいけないと思います。P64

米をつくるけれども糊熟期という米ができる直前に青刈りして、それを牛の飼料にする。僕はこれを全国でやるべきだと思うんですよ。P66

手の届く、触れられる、はっきりとかたちが認識できることをやっていく。それならできるし、自分の思いの丈の中でやればいいんだから、そういう小さな共同性をそれぞれの責任において構築するような社会がいいね。P98

たとえば「小欲知足」という言葉があるでしょう。欲を小さくして足るを知る。これは幸せですよ。(中略)しかし、経済活動から見れば困る。これは経済活動のほうに問題があるということなのかもしれない。P99

 

経済活動と 地球温暖化と 二律背反する問題ですが、

解決に1ミリでも近づきたいね 出来る範囲で。

(2017年の35冊目)

家を せおって 歩いた

家を せおって 歩いた

著者:村上 慧

発行:2017/04

夕書房

 

家族を背負って の せおってなんかではなくって、

発砲スチロールで作った 小さな家 に著者が入って担いで、

路上で突然この 小さな家 に出くわした 人 から見ると、

家のゆるキャラが歩く如く、家に足が生えて歩く如く、

東京を出て 青森 宮崎 と経由して 東京 へと戻ってきた、

「移住を生活する」美術家の369日の旅の記録。

こんなことをする人がいるなんて考えもつかなかった。

世の中には 面白いことをする人がいるもんだね。

 

読んでみて気になったところ

いま日本には670万戸もの空き家があり、問題になっている。(中略)これから新しいものを建てる必要なんてあるのか?P24

家の最大の機能は「寝る場所の確保」だということ。これさえなんとかなれば、洗濯やお風呂やご飯は外でもどうとでもなる。P32

自分のそれまでの経験だけでは及びもつかないような社会や覚悟や個人の生き方がこの世界にはたくさんあるのだと、いつも忘れないようにしないといけない。P59

この潮目はその波で生まれた瓦礫を使って建てられた。(中略)美術とか建築の価値、評価について考え直してしまう。こういうものこそ「みんなの家」と呼ぶべきなのでは。P86~P87

道を歩くよりもインターネットの中のほうが情報があるというのは錯覚だ。錯覚に対抗するには歩くしかない。P179

しかしこんなに良い月と寝られるなんて。(中略)大雨の中、雨漏りと戦いながら寝たあの夜に感謝したい。あのときのうんざりがあるから、いま幸せを感じられる。(中略)いつも同じ環境に、安心、安全、便利、快適な環境に寝てたら、こんな激しい喜びは味わえないと思う。今夜の満月を世界で一番堪能している。P180

住職さんはつづけた。「みんな自分の中にある闇を見ようとしなくなっている。『人に迷惑をかけ、煩悩にまみれながらも生きていかなくちゃいけない』事実と向き合おうとしない。だからボランティアが流行る。すべてのボランティアがそうだとは言わないけれども、自分は『人に迷惑をかけない人間』でいたい、『人のために尽くす自分』でいたいというのは傲慢だ。(後略)」P231

おばちゃんが迎えてくれた。(中略)「昔は居場所なんて至るところにあったのにな、住みづらい生きづらい世の中になってしもうたな。こんな田舎でも、心を悪くしてしまう人も増えてきててなあ」P233

ある一定の日数以上移動しない日がつづくと、移動したくなくなってくる。そうするとなぜか思考が暗黒面に陥りやすくなる。絶望する暇を頭に与えないためにも移動は良い。P257

自分の職場だけで日常が完結している人は、その職場の中で敵をつくってしまう。せまい世界の中で簡単にいがみあったりしちゃう。映画「インディペンデンスデイ」で、地球が宇宙人から攻め込まれた途端に、あらゆる国が争いをやめて団結し、宇宙人に立ち向かうのと逆だ。P264

油断するとすぐに、自分の身内から学ぶことを忘れる。自分が学ぶべきことは、本やテレビやインターネットや有名人のセリフの中にだけあるように思い、友達や家族からは学ばなくなる。これはこの社会の刷り込みだと思う。二次情報三次情報があふれ、それだけに価値があるかのように錯覚してしまう。危ないことだ。人と話すとき、いつも授業を受けるような気持ちで向き合う姿勢を忘れないようにしたい。P265

生後間もない赤ちゃんは、真っ白で罪のない存在ではない。生まれた国と時代と家庭環境によってあらゆることが事前に決まってしまっている。生まれた瞬間にせおった業から逃げることはできない。この世界には正義VS正義の構図しか存在しないし、日本人として生まれた以上、どんな事情があろうと、敵にならなくちゃいけない相手がいる。P276

 

1ページ約1000文字で、約300ページに及ぶ日記は、

なかなか読み応えがありました。

あたり前だけれども新鮮な指摘が随所にあって、

はっとすることがたくさんありました。

家で歩いていると、自分が前に進んでいるのではなくって、

地面が後ろに動いているような感覚になるらしい。

でもそれ、わかる気がする。僕もそう感じる時があるから。

著者の活躍を追いかけてみたいですね。

(2017年の34冊目)

スモールハウス

スモールハウス 3坪で手に入れるシンプルで自由な生き方

著者:高村友也

発行:2012/09

同文館出版

3坪の家というと、母屋の離れの小屋とかバンガローみたいな建物を想像するけど、本書のスモールハウスはそうじゃない。母屋として一式揃って3坪の家なんです。イメージでいうとキャンピングカーの規模で一軒家を建てた感じでしょうか。

大真面目にスモールハウスを論じていている本書には衝撃を受けました。僕も小さな物、必要最小限の物は、これからの時代は大切になってくると思うし、だから本書にも目が留まったと思うけど、さすがに3坪の一軒家は考えてなかったですね。

3坪のスペース(キャンピングカーを考えてみて!)に、軒下ウッドデッキ・居間(ソファ・お洒落なガスストーブ・机と椅子・本棚・収納)・キッチン・シャワー&トイレルーム・ロフトの寝室を備える手造りの家・・・完璧に洒落てます。

で、実際に著者は住んでいるとのことで、僕も自分の生活に取り入れることを考えてみたけど、もし実際にそんな生活が出来たなら、かなり自由でエキサイティングな暮らしが出来そうな気がする・・・。スモールハウスって面白そう!

 

読んでみて気になったところ

「僕は、自分の平穏な暮らしを支えてくれる家が欲しかったのであって、それを支えるために暮らしを捧げなければならないような家を欲しくはなかった。一方で、賃貸という考えは自分にはなかった。借り物じゃなくて、自分色に染めて使える、正真正銘の自分の家が欲しかったんだ。」P032

「完璧なデザインというのは、それ以上加えるものがないときでなく、それ以上取り除くべきものがないときに、初めて達成される。」P034

物を買うセンスよりも買わないセンス、手に入れる技術よりも捨てる技術、情報収集能力よりも情報遮断能力だ。P063

「大きすぎる家屋は、家というよりは、債務者の監獄だよ。」P068

環境負荷は大きさの問題(中略)家が小さければ建築資材は少なくてすむし、建築時に費やされるエネルギーや、照明や空調といった日常生活に用いられるエネルギーも抑えられる。解体・再生の手間や建築廃棄物も、家の大きさに比例して少なくなる。そうやって、すべての絶対量を減らす。環境のことを考えるのなら、こまごまとした省エネ仕様の商品に惑わされるよりも、それが一番近道だと思う。なんといっても、簡単だ。誰でもできる!P100

より大きく、より多く、より速くといった意味での人類の成長は、いずれ近いうちに停滞する。最終的には、自然の循環そのものや、太陽光という外部から事実上無限に供給される緩いエネルギーの中で生きていくしかない。P102

家を小さくして、物を買うことをやめることで、莫大な時間とお金が転がり込んできた。彼女はその時間とお金を、スモールハウスを世に広めるために用いることにした。P115

このような歴史的背景を省みて、「みんなが家を小さくすれば、消費が縮小してしまうのではないか」と危惧している人もいるかもしれない。住宅そのものに関わる消費はもちろんのこと、家を小さくすれば、家主は家に運び入れるものを厳選し出すから、社会全体の消費活動の縮小に繋がる。これに答えるためには、二つのことを言わねばならないと思う。第一に、大きな家は贅沢であるということ。第二に、贅沢なものの消費によって回る経済は誰も幸せにしないということ。P140

たとえば、スモールハウスに移り住もうとしているアメリカ人のカップルが、こんなことを言っている。「資源のために戦争しているアメリカ人だけが、贅沢な暮らしをするのはおかしいと思う。だから僕らは、スモールハウスに引っ越すつもりなんだ。」P141

技術や知識は間違いなく進歩してきたし、地球が何億年もかけて貯めた石油を湯水の如く使っている最中だ。だったら、僕ら人間は、どうしていまだにフルタイムで働いているのだろうか?P142

しかし、「コレコレは経済を回している」「コレコレは消費を拡大している」という結論が無条件に話の落とし所となる時代は終わった。これからは、何によって、何を目的に、経済が回っているか、それが重要になる時代だ。「住宅私有による経済効果」を無条件に賛美することも、必要な物を効率的に行き渡らせる経済と、不必要な物で空回りしている経済とを、混同していることになるだろう。P145

彼は『森の生活』の著者ヘンリー・ソローを敬愛しており、「大きな家と大きな負債を背負って周囲の自然世界を味わう時間のない生活は馬鹿げている」というソローの哲学が、自らの生活や、スモールハウスムーブメントの基盤になっていると語る。P166

空回り経済の本当の罪は、それが「人の心」を巧妙に支配して、金儲けや消費に関する絶対的な礼讃の論理を作り上げてしまうところだ。P170

最も贅沢な暮らし P176

 

未来の暮らしを考える上で、たいへん有益な考えだと思った。と同時に、個人も、会社も、国家も、やはり生存競争をしているので、他との比較優位に立つ本能は止まらないとも思う。

家族で暮らすことを考えると本書のスモールハウスは馴染まない。今は馴染まないけれども、考え方としては面白いんじゃないかと思う。家族というものが変わってゆくなかで、家だって変わってゆくだろう。小さい家って面白いと思うよ!

(2017年の33冊目)

大草原の小さな家

大草原の小さな家

Little House on the Prairie

著者:ローラ・インガルス・ワイルダー

画家:ガース・ウィリアムズ

訳者:恩地三保子

発行:2002/08(刊行:1935)

福音館文庫

大草原の小さな家〈インガルス一家の物語〉のシリーズの2作目、最も有名な〝大草原の小さな家〟を読みました。前作の 大きな森の小さな家 を後にして、一家は新天地を求める旅へ出る。全財産と家族を幌馬車に載せ、冒険というよりも、家族の生死の責任を負った旅の決断をした父さんと母さんの行動力には、当時の生きていくことの厳しさとロマンが、伝わってくるようでした。

 

読んでいて、ぐっときてしまったのは、

ウィスコンシン州の「大きな森」にあった小さな家をあとにしました。高い木立の間の、きりひらいた土地に、ひっそり、住む人もないままおいてきぼりにした、その小さな家を、馬車で旅立った日から、だれも二度と見ることはありませんでした。(P9)

とうさんは、鉄砲を肩にあて、ねらいをつけました。(中略)とうさんは、その緑の目にむかって、ゆっくり歩きだしました。そして、その目も、とうさんのほうへ、地面をはうように、ゆっくり近よってきます。(中略)うす茶でぶちのある動物なのです。とたんに、とうさんは大声でさけび、ローラは金切り声をあげていました。(中略)ローラの顔も手も、あたたかいしめった舌でなめまわすジャックを、しっかり抱きしめようとしていました。(p49) 感動の愛犬との再会

住みごこちのいい丸太の家は、いつもとちっともかわらない顔をしていました。みんながいってしまうことを、まるで知らないようです。とうさんは、戸口に立って、なかをぐるっと見まわしています。ベットの枠を、暖炉を、ガラスの窓を。とうさんは扉をきちんとしめました。掛けがねのひもは外にだしたまま。「今にだれかの役に立つだろうよ」とうさんはいいました。(中略)小さな丸太の家と小さな家畜小屋は、その静けさのなかに、さびしそうにうずくまっていました。(P389)

 

感動のエピソードは他にもたくさんありました。アメリカのフロンティアスピリットの一端を垣間見るようです。もともと生きるとは厳しく大変だけど、でも素晴らしいことなんだ。そんなふうに思えた本でしたよ。よかったら是非にどうぞ!

清水知久氏のあとがきに、「個人として、また民族や国民のひとりとして、自分にこう問いかけてみよう。自分のとる行動が、これから生まれ育つ七世代にどんな影響をあたえるか、と」とありましたがその通りですね。必要にして十分な製品や、例えば小さな〇〇に魅力を感じるのは、限りある地球環境の豊かな未来は、きっとその先にあるような気がするからです。

(2017年の32冊目)

ターシャの家

ターシャの家

Tasha’s Delightful House

著者:ターシャ・テューダー

写真:リチャード・W・ブラウン

訳者:食野雅子

発行:2005/11

メディアファクトリー

著者のターシャ・テューダー(1915~2008)さんはアメリカの絵本や挿絵の画家で、園芸家としても著名な方のようです。日野の古書店でこの本に出合うまで、僕は著者のことを知りませんでした。一般向けの家づくり関係の本が並んでいる書棚にひっそりと背表紙が見えていて、手にした瞬間に出会った感じがして、僕の自宅に来てもらうことにしたのです。

本には、最晩年のターシャ・テューダーさん、バーモント州の山奥に1700年代の農家を模して建てられたご自宅、歴史を刻んだ素敵な家具、自然のままのような庭が広がっていました。

日本の古い農家も趣がありますが、アメリカの古い農家もとても趣があります。むしろ、西洋化した現代の日本人にはアメリカの古い農家のほうがマッチしているのではないかと思うほどです。

本のなかの家具や調度品、ガーデニングの写真や記事を見ていると、ご婦人方には日本の農家よりも米国の農家のほうがお洒落でカッコイイと思うに違いありません。

本のなかで、少しだけ紹介されていますが、ターシャ・テューダーさんの絵は、アメリカ人の心を表現する絵と言われ、80冊以上の本を出版し、多数の輝かしい受賞作があり、一時代を築かれたすごい方なのですね。

〝ターシャの家〟は、広大な緑に囲まれた・・・というか、緑と一体化している無塗装の黒ずんだ板張りの古い木造の農家ですが、新しいモノには到底真似できない生命に寄り添った歴史や記憶を蓄えた静かでやさしい時間の流れるタイムマシーンのような空間が広がっているようでした。

今、映画が上映されているんですよね。-ターシャ・テューダー 静かな水の物語-という映画が。今度の日曜日に、なんとか時間をつくって、観に行ってみようかな!

(2017年の31冊目)

折りたたみ自転車で始める新しき日々

ものぐさ自転車の悦楽

折りたたみ自転車で始める新しき日々

著者:疋田 智

発行:2010/04

マガジンハウス

著者は自転車ツーキニストで有名な疋田智さん。

自転車でも本格的なロードバイクやマウンテンバイクは敷居が高いけど、折りたたみ自転車はカジュアルに楽しめるので乗ろうよ!という内容の折りたたみ自転車の入門書的な本。

したがって既に折りたたみ自転車を趣味としている人には、折りたたみ自転車あるある的な読み物になるし、折りたたみ自転車の購入を考えている人には参考になるだろうし、興味のない人には興味をもつ契機になるかもしれない、そんな面白い本でしょうか。

著者のサービス精神というか読者を笑わせようというか、文章のフレンドリーさが、クスっとする面もあるし、イラっとする面もある(笑)・・・無駄に文章が長くなっているような気がするのは御愛嬌でしょうか。

しかしね、自転車の街乗りに関しては第一人者で、自転車を取り巻く道路交通に関して多くの著書は大変に参考になるので、読んでみることをお勧めしたい。

 

読んでみて 気になったところ や 同感と思ったところ

人類が地球上に生まれて以来、我々の祖先は常にアタマよりもカラダの方を先に動かしていたはずだ。(P18)

古代の中国人は、考えをまとめる場所は、3つあると言ったという。1つはベッドの上、2つ目が馬上、3つ目が厠、つまりトイレの中だ。(P26)

小径自転車に乗っていると、時折「タイヤが小さいと、たくさん漕がないといけないんでしょう」なんてことを言われることがある。(P37)

いや、現代でも「〝安価な〟折りたたみ自転車は重い」。これは事実である。(中略)2~3万程度の折りたたみ自転車は、平気で16㎏や18㎏程度あって、実用になりにくい。(P39)

折りたたみ可能というアドバンテージ①酒が飲める!(中略)飲んでしまったら、折りたたんで電車に載っけて帰ればいい。終電過ぎたら、タクシーだってある。(P41)

折りたたみ可能というアドバンテージ②行動範囲が倍になる!(中略)考えるべきは「往き」だけ。往復の「復路」を考える必要があまりない。何かがあったら、すぐに折りたたんで、電車に乗ってしまえばいいんだから。(P43)

自転車を買う店は、「マニアショップ」または「プロショップ」などと呼ばれる店である。決してスーパーマーケットやホームセンターではない。(P65)

自転車も車両である以上、常に他者を傷つける可能性があるものと思った方がいい。その際に頼るべきはやはり保険だろう。(P248)

 

ちなみに僕の愛機は、ブリジストン スニーカーライト SNL163 というモデルで、2013/06に僕のところにやってきました。当時の定価は¥34,800、重量は11.8㎏です。ちゃんとした(重要)折りたたみ自転車としては廉価モデルで、高級機には性能的にはぜんぜん及ばないんですが、とてもお気に入りのカワイイ奴なんですよ!

自転車を選んだ基準として、

・事務所内に置くので、折りたたみ自転車。
・駐車で目立たぬよう、車体色はシルバー。
・コンパクトな15インチ前後のホイール。
・濡れた道を走るカモ、泥除けは必須だね。
・収納時に壊さぬように、内装式の変速機。
・チョイ乗りを満たす程度の、性能でいい。

ということで、真面目に楽しく悩んで決定した経緯があります。

Dwarf galaxy【(ドワーフ ギャラクシー)小銀河】と命名してますよ(笑)。

(2017年の30冊目)

大きな森の小さな家

大きな森の小さな家

Little House in the Big Woods

著者:ローラ・インガルス・ワイルダー

画家:ガース・ウィリアムス

訳者:恩地三保子

発行:2002/06(刊行:1932)

福音館文庫

大草原の小さな家 のインガルス一家の物語シリーズ、読みはじめました。懐かしいです。アメリカ西部の大開拓時代(1860~1890頃)、家族と財産を全て馬車に乗せて新天地を求める旅。現代人の悩みなんてすべて吹き飛ぶような過酷で生死を懸けた移動。

どうしても、父親目線で読んでしまうのですが、今を生きる僕には耐え難いほどのリスクと責任を背負っているチャールズ父さんには、ただただ感服するばかりです。

それでも生きる為に西部の開拓民の人達は、前に進むしかなかったのでしょうね。生きてゆくだけで、子孫を残すだけで、大変なことだったでしょう。

こういう作品を読むと、原点に戻れるような気がします。生きてゆくって大変だけど、それだけで素晴らしいことなんですよね。

大きな森の小さな家(ログハウス)って考えてみただけで、ワクワクするね!仕事や生活に疲れたとき、読む作品としてお勧めです!

(2017年の29冊目)

大草原の小さな家

大草原の小さな家 -ローラのふるさとを訪ねて-

文:ウィリアム・T・アンダーソン 写真:レスリー・A・ケリー

構成・訳:谷口由美子 発行:1988/09 求龍堂グラフィックス

 

古本屋さんでこの本に出会い、懐かしくて手にしました。

大草原の小さな家 は、ローラ・インガルス・ワイルダー(1867~1957)の半自叙伝的小説で、日本ではNHKで1975~1982年(僕が小中学生の頃)にテレビ放映され、一世を風靡した名作ですね。ちなみに、僕はつい最近まで著者の実体験をベースにしたストーリーであったことを、知りませんでした。

アメリカ西部の大開拓時代、幌馬車に家族と全財産を積み込み、大自然のなかを旅をして、手に入れた土地に自力で家を建て、原野を開墾し、森を切り開き、狩りをして、自給自足の上で利益を上げて土地代を払い家族協力して生きてゆく。

先住民との衝突やならず者が襲撃してきたら自衛で守るほかない。急病人が出ても病院はない。手紙は遠く離れた街の郵便局までいかねばならない。テレビやラジオもない。熊や狼などの野生動物との闘い。大自然の猛威に翻弄される。せっかく育てた小麦などの農作物をバッタなどの害虫が大量発生して壊滅させられる・・・。そんななか夫婦協力して子どもを産み育て養ってゆく。次々に起こる困難に立ち向かって開拓者魂で生きてゆく。

時代背景や世界観がまったく異なりますが、インガルスファミリー、半端じゃない・・・。そしてアメリカ全土には数えきれないぐらいの開拓者がいて・・・。

大草原の小さな家 が、現代でも愛されているのは、やはりフロンティアスピリットに溢れた古き良きアメリカを体現した作品だからでしょうか。アメリカというのはすごい国ですね、昔も、そして今も。

本は、ローラのふるさとを訪ねて とあるように、物語の舞台となった場所や人物を文章と写真で楽しく案内してくれる内容となっています。改訂版も発売されているようですから、気になった方は是非どうぞ!

本文より

(P44) とうさんの歌った歌

旅はたくさんしたけれど 苦労は山ほどあったけど どこへ行っても じぶんの力で生きていくのが いちばんさ

(P58) しかし、とうさんはいった。「意志あらば、道あり。」

感動しました。震えました。僕なんか、まだまだ苦労が足りないないですね。

インガルス一家の物語、小説で読んでみたいと思います。ドラマはDVD化されているようですので観たいですね。

大草原の小さな家 LITTLE HOUSE ON THE PRAIRIE 、面白そうです。大草原のなかでは、小さな家は 生死に係る大切な家族の拠り処 であったことでしょう。現代社会の大草原とは、小さな家とは・・・興味は尽きないですね。

(2017年の28冊目)