ターシャの家
Tasha’s Delightful House
著者:ターシャ・テューダー
写真:リチャード・W・ブラウン
訳者:食野雅子
発行:2005/11
メディアファクトリー
著者のターシャ・テューダー(1915~2008)さんはアメリカの絵本や挿絵の画家で、園芸家としても著名な方のようです。日野の古書店でこの本に出合うまで、僕は著者のことを知りませんでした。一般向けの家づくり関係の本が並んでいる書棚にひっそりと背表紙が見えていて、手にした瞬間に出会った感じがして、僕の自宅に来てもらうことにしたのです。
本には、最晩年のターシャ・テューダーさん、バーモント州の山奥に1700年代の農家を模して建てられたご自宅、歴史を刻んだ素敵な家具、自然のままのような庭が広がっていました。
日本の古い農家も趣がありますが、アメリカの古い農家もとても趣があります。むしろ、西洋化した現代の日本人にはアメリカの古い農家のほうがマッチしているのではないかと思うほどです。
本のなかの家具や調度品、ガーデニングの写真や記事を見ていると、ご婦人方には日本の農家よりも米国の農家のほうがお洒落でカッコイイと思うに違いありません。
本のなかで、少しだけ紹介されていますが、ターシャ・テューダーさんの絵は、アメリカ人の心を表現する絵と言われ、80冊以上の本を出版し、多数の輝かしい受賞作があり、一時代を築かれたすごい方なのですね。
〝ターシャの家〟は、広大な緑に囲まれた・・・というか、緑と一体化している無塗装の黒ずんだ板張りの古い木造の農家ですが、新しいモノには到底真似できない生命に寄り添った歴史や記憶を蓄えた静かでやさしい時間の流れるタイムマシーンのような空間が広がっているようでした。
今、映画が上映されているんですよね。-ターシャ・テューダー 静かな水の物語-という映画が。今度の日曜日に、なんとか時間をつくって、観に行ってみようかな!
(2017年の31冊目)