裁判官の爆笑お言葉集

裁判官の爆笑お言葉集
著者:長嶺超輝
発行:2007/3 ( 1刷)
   2023/10(39刷)
幻冬舎新書

割と有名な本だけど興味もなくて、書店で手にすることもなかったのですが、なんと僕自身が裁判員裁判の裁判員を経験するという、有権者ベースで一年間に裁判員を経験する確率は17700人に1人(裁判員制度ナビゲーション/最高裁判所発行より)という僕としては驚天動地の超貴重な経験をすることができました。

メディアの報道を見て、刑が軽すぎるだの重すぎるだのと言いたい放題だった自分が、裁判員を経験した後は、見方が大きく変わりました。

縁とは不思議なもので、3人の裁判官や6人+2人の裁判員、法務省職員、検事、弁護士、被告、被害者、証人等、僕の普段の日常生活では絶対に知り得ない人達との裁判所内での集いは、僕の人生の転機ともなる出来事だったと思います。

本書は裁判所へ向かう途中の書店で、ふと手にしたものです。初版発売当時は、裁判員裁判(2009~)は始まっておらず、今日の刑事裁判とは異なる面もあるとは思いますが、自分が裁判員を経験する前は全く興味のなかった本が、経験後は違う見方で読み進めることが出来たことに、自分でも新鮮な驚きがありました。

「法という道具を使って、人が人を裁く」とはどういうことなのか、民主主義国家における裁判とはどうあるべきなのか、将来もし自分が裁判員になったらどう振る舞うのか、といったことに、少しでも思いをはせていただけるなら、著者としてこれほど幸いなことはありません。P10

向かって右側の左陪席には、裁判官になって5年以内のフレッシュな判事補が、左側の右陪席にはそれ以上のキャリアがある中堅裁判官が座ります。そして、判決文の案は若手の左陪席が書くことになっています。P96

合議法廷での判決は裁判官全員一致の結論として言い渡されます。(中略)評議で意見が割れたなんてことは、公には一切明かされません。評議の内容は非公表。裏でどれだけ揉めたとしても、まるで何もなかったような顔をして、裁判長は「全員一致」の結論として判決を言い渡さなければならないのです。P114

今、この場で子どもを抱きなさい。
わが子の顔を見て、二度と覚せい剤を使わないと誓えますか。

覚せい剤取締法違反(使用)の罪に問われた被告人に向って。
P118

本件で裁かれているのは被告人だけではなく、介護保険や生活保護行政の在り方も問われている。
こうして事件に発展した以上は、どう対応すべきだったかを、行政の関係者は考えなおす余地がある。

実母との心中を決行し、自らは生き残ったために承諾殺人の罪に問われた被告人に、「献身的な介護で尽くした息子を、母親は恨んでいない」として、執行猶予つきの有罪判決を言い渡して。
P126

いい息子さんとお嫁さんなんだから、ふたりの面目をつぶすようなことは、二度としてはいけないよ。
入水心中を図った老夫婦のうち、車椅子の妻(当時80歳)のみが死亡した事件。承諾殺人の罪に問われた84歳の夫に対し、執行猶予つきの有罪判決を言い渡した後、50歳の息子を法廷内に呼び寄せ、握手をさせて。
P128

もうやったらあかんで。
がんばりや。

窃盗の罪に問われた被告人に、執行猶予・保護観察つきの有罪判決を言い渡しての、閉廷後の出来事。被告人が退廷するときに、一段高い裁判官席から身を乗り出し、被告人の手を握りながら。
P130

裁判所としても太郎君が心配なので、できるだけ軽い刑にしました。
真面目に務めれば、さらに早く出られます。フィリピンへ帰ったら、いいお母さんになって。

出入国管理及び難民認定法違反(在留期間超過)と、覚せい剤取締法違反(譲渡)の罪に問われた、フィリピン国籍の女性に、懲役2年の実刑判決を言い渡して。
P132

無罪判決や国を負かす判決を出すことが多い裁判官は、いきなり不自然な職場異動を言い渡されたり、出世・昇給が頭打ちになったりするナゾの現象が目につきます。単なる「職場のイヤガラセ」では片付かない問題です。P138

「求刑の8掛け」で懲役などの年数が決められているように見えるのは、裁判官の量刑相場を検察官が知りつくしていて、あらかじめその2割増しで求刑しているから・・・・・・?P172

興味深く、リアルに、読ませていただきました。

裁判官の法廷での被告人への言葉を読んでいると、その情景や事件の背景が浮かんできて、電車内だというのに目頭が熱くなってきてしまいました。

ここには書きませんでしたが、本書での凶悪犯への一線を超えた叱責など、裁判官も人なのだと、これも実感として思うところでありました。

書いてはいけない

書いてはいけない
著者:森永卓郎
発行:2024/3
三五館シンシャ

2月にも前著『ザイム真理教』の項でも書いたけど、僕は森永卓郎さんが大嫌いだった。でも前著を読んで180度見方が変わりました。なぜなら前著が面白かったからです。今回の本も忙しくて・・・積ん読でしたが、電車で出張が続いてその合間に読み進みまして、気になったのは以下で~す!

「日本は世界最大の借金を抱え、財政破綻が国民生活の破綻をもたらす」という恐怖心を植え付けることで、増税や社会保険の負担増を正当化する。もちろん、それは真っ赤なウソだ。P69

1980年度の国民負担率は30.5%だった。2022年度はこれが47.5%と17ポイントも上昇している。(中略)国民の被害は旧統一教会の比ではないのだ。P71~72

安倍首相は、消費税率の引き上げを2度にわたって延期するなど、反財務省の姿勢を貫いた。『安倍晋三回顧録』(中央公論新社)のなかで、安倍首相は次のように語っている。(中略)予算編成を担う財務省の力は強力です。彼らは、自分たちの意向に従わない政権を平気で倒しに来ますから」p72~73

財政緊縮政策を批判する論調を記載したメディアには容赦なく税務調査に入る。P73

今、日本では猛烈な勢いで税収が増え、減税の余力が高まっている。だから、社会保険の改悪ではなく、消費税減税を行い、国民の負担減を図ればよいのだ。そうすれば消費が増えて経済が成長し、さらに税収増につながっていくはずなのだ。P86

税務調査の刃は、メディアに登場する有識者にも向けられる。知人の大学教授は、税務調査を受けて数千万円の追徴金を取られた。不当な追徴だと抵抗したら、「だったら重加算税を課しますよ」と、個人では絶対に支払えない追徴額を口にしたという。(中略)だから〝賢い〟メディアや有識者は絶対に財務省を批判しない。P97~98

『日航123便墜落 遺物は真相を語る』(河出書房新社)で、青山氏は次のような推論を示している。
国産巡航ミサイルの洋上飛行実験中に突発的事故が起きて、日航123便の飛行中、伊豆稲取沖で垂直尾翼周辺に異変を発生させた。即座にファントム二機が追尾してその状況を確認した。自衛隊はそのミスを隠すために一晩中墜落場所不明としていた、と考えると筋が通る。P148~149

この機の墜落四散を願う彼らとしては、もはや手をこまねいて見ているわけにはいかなかった。彼らは考えただろう。今、123便は、平野部に比べればはるかに目撃者の少ない急峻な山岳地帯に入り込んでいる。この機を逃すわけにはいかない。そう考えた自衛隊幹部の間で「撃墜」が決断決行された。P161

特殊部隊が証拠や証人をすべて焼き払う。そのためには一定の時間が必要になる。それが「墜落現場が特定できない」とウソをつき、メディアを混乱させた理由だったのだろう。P165

ブラックボックス(中略)その生データは、現在、日本航空が保管しているのだが、いまだに公開されていない。本章の冒頭に紹介した遺族による公開請求でも、日本航空は一貫して情報開示を拒否している。(中略)なぜ、拒否をするのか。私は、公開されている音声データが改ざんされている可能性が高いからだと考えている。P166

プラザ合意(中略)日本政府は〝無条件降伏〟を呑んだのだ。(中略)日米半導体協定(中略)国際法を無視してまで日本はアメリカの軍門にくだることになったのだ。(中略)日本政府は日航123便の墜落の責任をボーイング社に押し付けたことになる。(中略)大きな見返りが必要になる。(中略)アメリカに「123便のことをバラすぞ」と脅されたら、なんでも言うことを聞かざるをえなくなってしまったのだ。P174~177

勇気を持って、この123便の墜落原因を国民の前に明らかにする。これだけで日本は主権を回復する独立国家への道を歩むことができるようになるはずだ。P202

なかなか、興味深い衝撃的なことを著者の森永氏は主張されているものの、組織の論理の前に個人はかくも無力だとも思いますが、当時の判断を後の時代に検証し、一定期間後に全面的に公開することは、国家の主権や自浄作用、国民の利益に供するものだと思いました。

雪おんな縁の地

現地案内板より

Wikipediaより
小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)が『怪談(kwaidan)』の中で雪女伝説を紹介している。
あらすじ
この話は武蔵の国、西多摩郡調布村の百姓が私に語ってくれたものである。
武蔵の国のある村に、茂作と巳之吉という2人の樵が住んでいた。茂作はすでに老いていたが、巳之吉の方はまだ若く、見習いだった。
ある冬の日のこと、吹雪の中帰れなくなった二人は、近くの小屋で寒さをしのいで寝ることにする。その夜、顔に吹き付ける雪に巳之吉が目を覚ますと、恐ろしい目をした白ずくめ、長い黒髪の美女がいた。巳之吉の隣りに寝ていた茂作に女が白い息を吹きかけると、茂作は凍って死んでしまう。

女は巳之吉にも息を吹きかけようと巳之吉に覆いかぶさるが、しばらく巳之吉を見つめた後、笑みを浮かべてこう囁く。「お前もあの老人(=茂作)のように殺してやろうと思ったが、お前はまだ若く美しいから、助けてやることにした。だが、お前は今夜のことを誰にも言ってはいけない。誰かに言ったら命はないと思え」そう言い残すと、女は戸も閉めず、吹雪の中に去っていった。
それから数年後、巳之吉は「お雪」と名乗る、雪のように白くほっそりとした美女と出逢う。二人は恋に落ちて結婚し、二人の間には子供が十人も生まれた。しかし、不思議なことに、お雪は十人の子供の母親になっても全く老いる様子がなく、巳之吉と初めて出逢った時と同じように若く美しいままであった。
ある夜、子供達を寝かしつけたお雪に、巳之吉が言った。「こうしてお前を見ていると、十八歳の頃にあった不思議な出来事を思い出す。あの日、お前にそっくりな美しい女に出逢ったんだ。恐ろしい出来事だったが、あれは夢だったのか、それとも雪女だったのか……」

巳之吉がそう言うと、お雪は突然立ち上り、叫んだ。「お前が見た雪女はこの私だ。あの時のことを誰かに言ったら殺すと、私はお前に言った。だが、ここで寝ている子供達のことを思えば、どうしてお前を殺すことができようか。この上は、せめて子供達を立派に育てておくれ。この先、お前が子供達を悲しませるようなことがあれば、その時こそ私はお前を殺しに来るから……」
そう言い終えると、お雪の体はみるみる溶けて白い霧になり、煙出しから消えていった。それきり、お雪の姿を見た者は無かった。

Wikipediaより
原典
小泉八雲の描く「雪女」の原伝説については、東京・大久保の家に奉公していた東京府西多摩郡調布村(現在の青梅市南部多摩川沿い。現在の調布市は当時、東京府北多摩郡調布町で無関係)出身の親子(お花と宗八とされる)から聞いた話がもとになっていることがわかっている(英語版の序文に明記)。この地域で酷似した伝説の記録が発見されていることから、この説は信憑性が高いと考えられ、2002年には、秋川街道が多摩川をまたぐ青梅市千ヶ瀬町の「調布橋」のたもとに「雪おんな縁の地」の碑が立てられた。表側には碑文が刻まれ、裏側には「雪女」の和英両方の序文と小泉の肖像が刻まれた銘板が嵌め込まれている。江戸時代の日本は現在よりも気温が低く、現在の東京都多摩地域西部に相当する地域は冬に大雪が降ることも珍しくなかった点から、気象学的にも矛盾しない。

いまじゃ 雪おんな の風情もないけど、こうしてみるとなかなかの渓谷だね!

小松城を歩く

4/21
9;45 スカーレット号(CT125ハンターカブ)で自宅を出発。
日曜ですので多摩御陵の西側付近は若干渋滞しております。
10:55 頃、小松城跡の南側の宝泉寺付近に到着。
(相模原市緑区川尻)

観光協会前の道端でスマホのMAPを見ながら登城ルートを検討していると、

「どちらへ行かれますか?」と、親切な70代ぐらいの男性の方が話しかけてきてくれました。
城跡へ行きたい旨を話すと、墓地の西側の階段から登れること、お寺はお殿様の菩提寺で、境内は元々は館であったらしい等々のお話をいただいた上に、ご厚意で愛機を置かせていただくことに。
_(_^_)_

お寺に入ってすぐに立派な石碑がありました。

立派な本堂ですね。
裏山が小松城跡です。
この辺りに城主のお館があったのでしょうか。

お寺さんにお参りしてから、墓地西側の登城路を登ります。

登り切った先に案内板がありました。

城跡の北側は東西方向に遊歩道(上記点線)が整備されており、

ハイキングを楽しむ方々が城跡裏を通り抜けてゆきます。

主郭の東側の空堀と土塁。

主郭の西側の空堀と土塁。
今では緩やかな溝のように見えますが、廃城から400年は過ぎ去り、人の背丈程、堀は埋まり土塁は低く斜面は緩くなっており、往時は郭(曲輪)は丸太で囲われ、斜面を登って近づく敵兵は深く高い空堀と土塁に阻まれ圧倒的に不利な地形を進軍すれば、上から弓矢・石礫・槍などで反撃され、数倍の戦力がないと城を落とせないと言われているのも頷けます。

西の曲輪の西側の空堀。

主郭にて、左側は櫓台、右側の祠は天神社。

お参りさせていただきました。
祠の左下に、

小松城址と書かれたプラ杭がありました。
小さな山城を下り、愛機を置かせていただいている観光協会に戻ります。

読みたかったのと、お礼の意味もあって、販売されていた『相模川歴史ウォーク(著者:前川清治)東京新聞出版局』という本を一冊購入し、楽しみが増えました。
(人”▽`)ありがとう☆
12:05 小松城跡を後にして、そのまま西へ。
やはり二輪車は通行止めのままでしたね。
Uターン。
ひとしきり付近をウロウロ散走していて、

12:30 川尻八幡宮さんにお参りさせていただきました。

戦国時代の小田原北条氏の時代の創建とのことです。

12:50 出発。
穴川交差点の街の酒屋さんといった風情の榎本商店さんに立ち寄り、地酒を物色していると、店主さんお勧めの限定酒を買うことができ、楽しみが増えました。

マクドナルド秋川店で家族のマックを買ってから、
14:20 帰宅しました。

ザイム真理教

ザイム真理教
著者:森永卓郎
発行:2023/6
三五館シンシャ

僕は森永卓郎氏が嫌いだった。
けれど凄い本を出したものだ。
本音直球権力者への忖度なし。
死を賭して日本経済への警鐘。

読んで気になったところ

 財務官僚の最大の特徴は、増税を心の底から「正義」と信じてやまないことだ。税の徴収と再分配こそ、国家権力の礎、日本一優秀な我々が、規律を守ってカネを回すことこそが、日本の繁栄につながる 彼らは本気でそう信じているのである。(中略)そんな総理が今、東大受験の失敗以来、最大の「人生逆転のチャンス」を迎えている。ずっと「俺なんて足下にも及ばない」と思ってきた天下の秀才たちが、「あなたにしかできない大仕事がある」と、こぞって頭を下げに来るのだ。(中略)こうした「ゆがんだ使命感」に岸田総理が目覚めてしまっているのだとしても、不思議ではないだろう。P40~41

 普通の宗教は、プラスの説教をメインに、マイナスの説教を補足的に使う。たとえば、「お祈りを続ければ天国に行けます」というのをメインに、「嘘をついたり、他人をだましたりしたら地獄に落ちますよ」という教義を作るのだ。それは、信仰を通じて、人々が幸せになる社会を作ろうとしているからだ。(中略)
 一方、カルトの場合は、まずマイナスの説教がメインとなる。「あなたには悪霊がついている」「あなたは原罪を抱えている」・・・・・・。そうした言いぶりで不安をあおり、恐怖心を高めていくことでマインドコントロールの第一歩に結び付けるのだ。P46~47

 負債の1661兆円から保有資産の1121兆円を差し引くと、資産負債差額は540兆円となる。これが本当の日本政府が抱える借金なのだ。2020年度の名目GDPは527兆円だから、借金のGDP比は102%だ。GDPと同額程度の借金というのは、先進国ではごくふつうの水準だ。日本の財政が国際的にみて悪いと言う事実はまったくないのだ。(中略)
 じつは日本政府が抱える本当の借金は、ほぼゼロなのだ。資産負債差額が2020年度末で540兆円あるが、そこに日本政府が手にしている通貨発行益の532兆円を加えると、日本政府が本当に抱えている最終的な純債務はわずか8兆円にすぎないのだ。P58~62

 つまり、森友学園に8億円の値引きをして国有地を売却したのは、本省からの指示だったということになる。(中略)
 私の当時の見立ては、「消費税引き下げを画策し始めた安倍総理を失脚させるため、財務官僚があえて叩き売りをして、安倍総理のスキャンダルに仕立てようとした」というものだ。
 これに対して、ある元経産官僚は、「官邸で経産官僚が重用されるようになり、危機感を感じた財務官僚が、安倍総理を喜ばそうとしたのではないか」と言った。
 いまになってみると、元経産官僚の見立てのほうが正しかったようだ。P110~111

 2020年8月28日に安倍総理が辞任の意向を発表した。その時点で、私は二つのことが確実に起きると確信した。一つは、日本が重税国家になることと、もう一つは日本経済の転落が加速するということだ。
 安倍元総理は、自民党のなかで唯一といってよい「反財務省」の政治家だった。(中略)そして、財務省は官邸のなかで、かつての絶対的権力者の地位を取り戻したのだ。P117

 ところがザイム真理教は、財政破綻をすれば、ハイパーインフレや国債や為替の暴落が起きるぞと脅したうえで、必要のない増税を繰り返して、国民生活を破壊してしまうのだ。(中略)
 2010年度の国民負担率は、37.2%だった。それがどんどん上がっていって、2022年度には47.5%と、ほぼ5割に達している。働いても半分が税金と社会保険料でもっていかれる計算だ。P122

 なぜ、日本経済がこの30年間、ほとんど成長しなかったのかという疑問がしばしば提起されている。
 日本企業がイノベーションを怠ったからだとか、終身雇用・年功序列処遇が時代に合わなくなったからだとか、企業が雇用を守るために賃金を抑え込んだからだなどといろいろな意見が出されているが、この表を見れば、答えは明らかだろう。
 日本経済が成長できなくなった最大の理由は「急激な増税と社会保険料アップで手取り収入が減ってしまったから」だ。P135

大手新聞社とザイム真理教の関係
 ザイム真理教の正体がこれまで明らかにされなかった背景には、ザイム真理教に強力なサポーターと強力な親衛隊がついていたことが大きい。サポーターは大手マスメディアと富裕層、そして親衛隊は国税庁だ。P150

 たとえば、大手新聞社は、統計が発表されたり、予算編成が進むたびに「日本の財政が厳しい状況にあり、このまま次世代に借金を付け回すのは好ましくない」というザイム真理教の教義を垂れ流している。(中略)
 そして、10兆円を超える防衛関係費を計上したにもかかわらず、プライマリーバランス(基礎的財政収支)の赤字が、前年度の13兆円から、10.7兆円へと、2兆3000億円も改善したことはどの新聞も報じていない。(中略)
 大手新聞社の本社はいずれも東京都心の一等地に立地している。(中略)このすべてが国有地の払い下げを受けたものだ。(中略)大手新聞はこぞって森友学園が安値で小学校用地を取得したと批判したが、それよりずっと以前に自ら格安払い下げを受けていたのだ。そうした経緯があったら、財務省を批判する記事はなかなか書けない。
 もうひとつ、新聞社には大きな疑惑がある。2019年10月から消費税率が10%に引き上げられた際、食料品とともに定期購読の新聞は、軽減税率が適用されることになった。生活必需品という理由からだが、生活必需品である電気やガス、水道は軽減税率の対象とならなかった。電気やガス、水道よりも、定期購読の新聞が生活必需品という理屈はどう考えても理解しがたい。P150~154

 ザイム真理教のもう一人の強力なサポーターは富裕層だ。
 富裕層を味方につけておけば、財務省が天下り先に困ることはないし、何よりも富裕層は政治的な力を持っているから、教団を守ってもらうのに都合がよいのだ。だから、ザイム真理教が負担増を押し付けるのは庶民が中心で、富裕層の負担は目立たないように、しかし猛烈に低くしている。(中略)
 私の知っている富裕層はほぼすべての支出が会社の経費だ。消費税をほとんど支払っていないことになる。富裕層にとっては消費税がいくら上がっても、懐は痛まないのだ。(中略)
 カルト教団の多くでは、富裕層やエリート層が、一般信者と異なる待遇を与えられるのはよくある話だ。ザイム真理教でもその構造はまったく同じだ。庶民は教団の集金ターゲットとしか扱われない。P154~166

最強の親衛隊・国税庁
 富裕層やエリートが財務省に逆らえないのは、単に自分たちを優遇してくれるからだけではない。財務省の外局である国税庁が幅広い裁量権を持っているからだ。(中略)
 国税が怖くて、誰も盾突くことができない。このことがザイム真理教への批判が世に出てこない一つの重大な要因になっている。P166~168

 本書を書こうと思ったのは、生活が厳しくなる一方の日本国民に、財政の真実を知ってもらい、財政均衡主義からの脱却が、国民生活を改善するために絶対に必要だということを理解してほしいと思ったからだ。(中略)
 本書は2022年の年末から2023年の年初にかけて一気に骨格を作り上げた。その後、できあがった原稿を大手出版社に持ち込んだ。ところが、軒並み出版を断られたのだ。「ここの表現がまずい」といった話ではなく、そもそもこのテーマの本を出すこと自体ができないというのだ。
 岸田政権になってから、言論の自由が急速に失われてきたことは、私も肌で感じていた。新聞には政権批判が書きにくくなり、テレビの情報番組はコメンテーターがお笑い芸人とアイドルに次々に置き換えられていった。(中略)
 正直言うと、私は出版をあきらめかけていた。そんななかで三五館シンシャだけが出版を引き受けてくれた。P187~190

 森永卓郎さん、熱い本を出しましたねぇ~。

 僕は今まで貴方のことを、陰気臭い疫病神や貧乏神のように思っていましたが、大病を患って余命が僅かと見聞きしましたが、それ故か、それにしても思っていても書けないような事を、本音直球で、日本の真の裏の権力者への忖度もなしで、死を賭しての日本経済への警鐘とは、恐れ入りました。

 誰かが言わねばならない真実も、報復で自分の基盤が崩壊する可能性を普通は考えるし、家族を人質に取られている状況では、黙っている人達がほとんどでしょう。

 僕は森永卓郎さんのファンになりました。凄いよ、あんた。

/)`;ω;´)

「日経平均10万円」時代が来る!

「日経平均10万円」時代が来る!
著者:藤野英人
発行:2024/1
日本経済新聞出版

藤野さん、大風呂敷広げたなぁー。
でも、見えるんだろうな。

読んで気になったところ

 ご存じの方も多いと思いますが、「伊藤レポート」の多岐に渡る指摘や提言の中でも特に重要だったのは、「ROE(自己資本利益率)の目標水準8%」を宣言したことです。P20~21

 そして今、私は日本がデフレからインフレへと転換しつつあると考えています。おそらく、再び日本の株式市場は激変するでしょう。P70

(前略)今後は、競争力があって自社の商品・サービスの値上げを実施でき、それによって給与など従業員の待遇を改善できる企業だけが生き残って成長していくことになるでしょう。(中略)労働力不足が日本にインフレを引き起こす大きな要因になるのです。P81~82

(前略)しかしEV化が進めば、リチウムなどの希少金属の需要がさらに爆発することになります。今後、天然資源価格の上昇は避けられないでしょう。(中略)
 私は、日本においてインフレ経済はすでに始まっており、長期的に続くと考えてよいと見ています。P85

「日経平均株価10万円」は、①インフレの進展、②大企業の変化、③次なる希望を示す新興企業の台頭の3つが揃わなければ達成しないかもしれませんが、私は大企業の変化と新興企業の台頭については楽観しています。「10年後に日経平均は10万円になる」と言っているのは冗談ではなく、本気です。P89

◎デフレで「仕事嫌い」「会社嫌い」になった日本人(中略)
日本の働く人たちは「自己研鑽」の気持ちも低い
2022年に行った調査
研修・セミナー、勉強会等への参加 11.6% 最下位
通信教育、eラーニング 7.1% 最下位
語学学習 9.9% 最下位
副業・兼業 8.9% 最下位
NPOやボランティア等の社会活動への参加 3.4% 最下位
勉強会等の主催・運営 2.9% 最下位
大学・大学院・専門学校 1.7% 最下位
とくに何も行っていない 52.6% 圧倒的1位
P106~109

◎投資の第一歩として「ありがとう」を言う
 そこで、今すぐできることとして皆さんにぜひやっていただきたいのが、「ありがとう」を言うことです。(中略)
 たとえばコンビニのレジで会計をしたとき、店員さんに「ありがとう」と言ってみましょう。職場でも、車内外の人に積極的に「ありがとう」を言ってみてください。もちろん家庭内でも「ありがとう」を増やしていきましょう。(中略) 
◎「ありがとう」が生む大きなリターン(中略)
リスクゼロで意外に大きなリターンが見込める投資なので、ぜひ皆さんも実践していただければと思います。
P110~112

投資でAIに勝つには「10年先」を見る(中略)
◎10年先を見る投資が、結果的に短期の運用成績も上げる(中略)
いずれにしてもここで重要なのは、「10年後の未来は、すでに存在している」ということです。(中略)
「あるべき未来を提示して選択していくという投資こそが、結果的に儲かる」。そう私は信じています。P128~134

 IT業界で成功した人たちがこぞって宇宙を目指すのは、道楽やロマンではありません。彼らは、宇宙ビジネスが近い将来に大きく成長することを確信しているのです。P166

(前略)これからは業界の融合が進むだろうということです。(中略)業界の枠を超えてビジネスを拡大していく融合型企業が台頭していくことになるでしょう。P208

 本書で著者は、「けっしてバラ色の世界というわけではありません」とも言っておられますが、持つ者は豊かな、持たざる者には厳しい時代が到来する、ということでもあります。

 なんか、そんな気がしてきたな(笑)。恐ろしくもある。大変な時代が来るな。

 自分の半生を振り返った時、いま思うのは、半分は捨ててしまって、もう半分は新しいことに挑戦しないと面白くないだろうなと思っています。

 僕は、本業以外にいくつかの副業をしていますが、本業とは全く異なる業種の「ありがとう」というお客様の言葉、本業では知り得なかった業界の人達の言葉に、本業で荒んだ心を癒され、働く喜びを再認識し、誰かの役に立って社会の歯車の一つになる喜び、家族の存在への感謝の気持ちの気付きなど、副業には本当に助けられてきました。

 余談でしたか(笑)。

 面白い本でした。是非一読をお勧めいたします。サクっと読めますよ!

87歳、現役トレーダー シゲルさんの教え

87歳、現役トレーダー
シゲルさんの教え
著者:藤本 茂
発行:2023/11
ダイヤモンド社

読んで気になったところ

①増収・増益になっているか?
②増配になっている、あるいはその余地があるか?
③「PER」「PBR」は割安か?
④ローソク足は「買い場」「売り場」を示しているか?
⑤RSI(相対力指数)の数字は「売られすぎ」「買われすぎ」ゾーンにあるか?
⑥売買が活発に行われているか?
 P017

収益率のなかでも、とりわけ「経常利益」「純利益」を見るようにしています。 P134

一目均衡表 P173

買われたものを売りに行く。売られたものを買いにく。
買うタイミングは、「安い」と思ったときですし、売るタイミングは「高い」と思ったとき。基本的には、それだけの話です。
 P176

RSIは私のなかではかなり有力な指標として、日々取引履歴を書き留めるノートにも記載しています。 P178
RSIが29%であれば、思い切って買ってもまず失敗しません。 P179

まずはRSIとローソク足を駆使して買い時や売り時を判断するのが基本。そして、使いやすいテクニカル分析を試してみて、自分のやり方を確立することをオススメします。 P182

『会社四季報』を使い倒す
全ページに目を通します P189

「仕手株」にはご注意を P229

薬を飲んで健康のために生きる生活より、何か1つでも打ち込めるものを見つけて、その打ち込めるものを追求するために時間を使ったほうが、「最後まで自分の人生を全うできた」と言えるのではないでしょうか。私は心底、そう思うんです。 P257

「相場師は孤独を愛す」 P269

恐れ入りました。_(_^_)_

著名なトレーダーですが、新聞広告で著書の出版を知り、

買い求めて、読ませていただきました。

共感したところ、教えを請うたところ、多々ありました。
非情にシンプルに解りやすく書かれており、やはり著者は非凡な才能ある超努力家の本物中の本物の歴戦のレジェンドトレーダーだと思いました。

面白かった~。
死ぬまで現役のスタンス、最高ですね!

トレードで行き詰まったときに読む本

トレードで行き詰まったときに読む本
自分を知ることから始まる相場心理学
著者:マイケル・マーティン
監修:長尾慎太郎
訳者:井田京子
発行:2023/11
パンローリング

読んで気になったところ

勝ちトレードは保有し続け、負けトレードは損切りする。そして、リスクを管理し、逆指値注文(ストップ注文)を活用し、自分のシステムを使い続け、ニュースは無視する、(後略)P8

私の経験では、新しく建てたポジションが逆行すると、その動きは続くことが多い。良いトレードは、たいてい最初から利益が出るものだ。P30

(前略)トレーディングをしているときに気づいた感情をすべて日記に記録しておくとよい。P32

「結局、負けが負けを呼びます。負け始めると、心の中のマイナス要素に火が付き、悲観的な気持ちになります。トレーディングには集中力が求められ、そのためには事前の準備が必要です。(後略)」P97

ジム・ロジャースの言葉を借りれば、「含み損などというものは存在しない」。大きな損失も、最初は小さい損失だったはずだ。10%の損失は、2%の損失や5%の損失を経てそこまで大きくなったのだ。負けトレードは、のど元に迫るまで待たずに、膝の高さぐらいで損切りしてほしい。

トレーディングで利益を上げるには、小さい損失を受け入れること(もしくは何もしないで勝ちトレードを伸ばすこと)しかないことを理解していれば、気持ち良く小さな損失を受け入れられるだろう。P193

うまくいったことは必ず記録してほしい。成功トレードが今のあなたを導いてきてくれたのだ。さらに、朝の15~30分を使ってこれらのことを考え、自分をプラス思考にセットする時間を作ってほしい。P200

ひとつのツールや手法のスペシャリストになるということである。P204

人間の脳はすべてのインプットに反応するが、なかでも自分自身のために作り上げたインプットに最も反応する。自分が使いたいインプットを書き溜めていけば、利益を上げるために自分が望んでいる道が見つかる。P205

ウォーレン・バフェッドでさえ、PERが高すぎるという理由でマイクロソフトやアップルを買い損なった。自分の考えが正しかったことに「世界中の人もいずれは気づく」と思うのはあまりに傲慢だ。株や商品の価格はマーケットが決めるもので、アナリストが判断するものではない。P232

 タイトルのようにトレード関連の本なのですが、多くの事に共通する教えだなぁと思いました。

 最近は非効率な日常生活に忙殺されて、なかなか本を読む気にもなれなくて、積ん読の蔵書が増えてしまいましたが(読もうと思って買っても読めていない・・・笑)、今年は時間を作って、積ん読の蔵書を読みたいと思っております。

地域や漁業と共存共栄する洋上風力発電づくり

地域や漁業と共存共栄する
   洋上風力発電づくり
著者:渋谷正信
発行:2021/3
KKロングセラーズ

 異常気象が人々に実感として体感されるようになって、従来からの文明生活の継続性に限界が見え始め、国策からビジネスへと再生可能エネルギー導入のウェーブが起こって、太陽光や風力発電が注目されています。

 今現状として、最もエコロジー&エコノミーな乗り物は自転車(笑)で、オートバイ、軽自動車、リッターカー、ハイブリッド、電気自動車と続く感じでしょうか。

 世の中的にはEVがエコカーということになっていますが、製造から廃棄に至るまでのトータル二酸化炭素排出量は、発電やバッテリーの廃棄まで考慮すると、現状ではEVは未だ不利だと思っていますが、近い将来に再生エネ発電が普及し環境負荷の軽いバッテリーが普及すれば、価格も含めてEVの環境優位性は増すものと信じています。

 などと前置きが長くなりましたが、再生エネの太陽光発電は見ていてつまらないんですよ・・・無表情で静かだし・・・。そこへいくと風力発電は風車がグルグルと回り、風切り音が聞こえたり、ジブリ映画にも風車は出てきますが、文明的な歴史もあって、面白いんじゃないかって僕は思っているのかな?

 海の中に構造物をつくれば、海の環境が悪くなって、魚や海藻は寄り付かなくなるのではないかという話をよく耳にします。
 ところが実際に水中を観ると、風の塔や海ほたるの海中は魚や海藻の楽園になっていたのです。(P30)

 また、自分の内側を見つめるという「内観」も体験しました。今思い返すと、弟の自殺や部下の裏切りで精神が弱っていたようでした。
 わらをもすがる気持ちで内観に取り組んだと思います。
 内観をする際、三つのテーマが与えられました。
・お世話になったこと
・お返ししたこと
・迷惑をかけたこと
 生まれたときから現在まで、この三つを手掛かりにしながら、父や母について丹念に記憶の中から「事実」を調べていくものでした。(P53~54)

オランダ・イマーレス研究所が教えてくれた「海はとても豊かになっている」
 リンデブーム博士の調査の結果は次の通りでした。
 洋上風力発電の風車が建っている海域では、確実に魚介類が増えていました。私がアクアラインの海中で体験したのと同じことが起こっているのです。
 海鳥も増えていました。魚が増えれば、当然のことながら、それを餌とする海鳥も集まってきます。(P78~79)

五島の沖につくられた一基の洋上風力発電。その海域を調べたら、次のようなことがわかりました。
①洋上風力発電は電気をつくるだけでなく、良好な漁場もつくれるのではないか。一石二鳥で環境と漁業資源戦略になるのではないか、ということ。
②ヨーロッパのように洋上風力発電がたくさん並ぶ海は、大漁場になる可能性が見えてきたこと。
③漁業者の方のヤル気をきびしい磯焼けの海に向けることで、海藻(ヒジキ)を再生することができたこと。
④洋上風力発電を建設するには漁業者の方との協力が不可欠だということです。(P128)

 洋上風力発電は、主目的は電気をつくることであっても、風車の水中部をエコロジカルデザインにすることで海の環境が回復して漁業が豊かになり、漁業が活性化することで地域が豊かになるというサイクルができ、周辺の住民にとっても大きな喜びを生み出すことができると思っています。
 CO2を削減するエネルギー問題解決と同時に、海の環境や漁業の再生・活性化ができる洋上風力発電の普及をめざしています。(P141~142)

 著書にありましたが、持続可能な社会を目指す上で、再生可能エネルギーの比率を上げるしかありませんし、環境の面ではもちろんのこと、ビジネスの面でも大きな期待が持たれていますし、課題はまだまだたくさんあるようですが、風力発電って面白いと思いますよ!

北条早雲

北条早雲
著者:池上裕子
発行:2017/7
山川出版社

 戦国大名 小田原北条氏の祖、北条早雲(伊勢盛時)についての小冊子。

 伊勢盛時は、自身では北条を名乗ったことはなく、子の氏綱の代に、(氏綱が)鎌倉北条氏末裔の女性との婚姻(P86) や 扇谷・山内両上杉氏打倒、武蔵制圧、房総侵攻継続を当面の目標とし、ひいては関東に覇を唱える構想(夢)があったであろう。上杉苗字に対抗できる名乗りとして、北条を選んだに違いない。伊豆での拠点の辺りが北条と呼ばれたこと、鎌倉北条氏が伊豆から相模に進出し、幕府の執権となったことなどが念頭に合ったかと推測される。それはまた、由緒ある伊勢名字に決別し、関東支配に軸足をおいたことを意味しよう。(P87) ということで、北条と名乗るようになったようです。

 京都では、室町幕府と関係の深い武家に生まれ育ったとはいえ、少数の家来を引き連れて伊豆に小さな足掛かりを築いてから、そこから伊豆と相模の二か国を平定し、後に関東の覇者となった小田原北条氏の礎となった伊勢新九郎盛時(北条早雲)とは、先見性と実行力と人心掌握術に長けた天才創業経営者であったともいえるのでしょうね。

 近場の城跡を訪ねると、小田原北条氏に必ず関係してきますので、暫くは北条さんから目が離せません(笑)。